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HOME入札談合に関わる問題国立病院における入札

購入担当者と接触がない場合には官製談合には該当しないものの、一定の場合に、入札自体が無効になる恐れがある!

入札談合に関わる問題
本件で念頭に置かれている具体例は以下のような事例です。

『A国立病院では医療機器の購入について、入札制度を採用しており、各事業者の医療機器の特徴を把握したいA病院の購買担当者は、入札実施前に、各事業者に、多数の病院関係者の前でプレゼンテーションを実施させた。後日、各事業者に対して入札条件が開示されたが、入札の仕様条件に見合うものはB社製の医療機器のみで、入札を実施するまでもなく、B社が落札することは明らかであった。B社の担当者は、国立病院の購買担当者と直接の接触は一切持っていない。このような場合、官製談合が成立するか。』

上記のような行為は、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律第1条第5項に掲げられている各行為類型に該当するかどうかどうかが問題となるが、同項に掲げられている行為は、いずれも、購入担当者と事業者間に意思の交換が実施されることが前提となっています。

したがって、購入担当者とB社の担当者が直接の接触を一切持っていないという前提のもとであれば、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反は問題になりません。

しかし、B社製の医療機器のみが条件に合致するような入札条件を付することは、状況により地方自治法に違反する虞があり、その結果、入札自体が無効になる可能性があります。

@当該医療機器を製造している者は特定の業者のみであるが、他の業者であっても容易に当該仕様の医療機器を製造しうる状況にある場合、製造者が特定の業者に限定される程度に医療機器の仕様を特定することは、地方自治法に違反しません。

A当該医療機器を製造している者は特定の業者のみであるが、これを販売しまたは容易に販売しうる者が複数いる場合、製造者が特定の業者に限定される程度に医療機器の仕様を特定することは、地方自治法に違反しません。

B当該医療機器でなければ調達の目的(例、医療行為)を達することができない場合、地方公共団体が競争入札方法で物品を調達する場合に、製造者が特定の業者に限定される程度に医療機器の仕様を特定することは、地方自治法に違反しません。

C他に当該医療機器を容易に製造しうる者もなくかつ当該医療機器を販売しまたは容易に販売しうる者も特定の業者に限定され、かつ当該医療機器でなくても調達の目的を達することができる場合、製造者が特定の業者に限定される程度に医療機器の仕様を特定することは、地方自治法に違反する虞があります。

以上のとおり、仮に、上記の事例がCに該当する場合には、状況により地方自治法に違反する虞があり、その結果、入札自体が無効になる可能性があります。


なお、2022年3月3日の日本年金機構が発注するデータプリントサービスにかかる入札談合では公正取引委員会は異例の対応をしている。すなわち、公正取引員会は、日本年金機構にて平成28年1月末頃、特定データプリントサービスの入札において、いわゆる入札談合が行われている旨の情報について通報を受け、内部調査を行ったにもかかわらず、その結果を含む本件談合情報を公正取引委員会に通報しなかったこと、特定データプリントサービスの入札について、入札前に入札参加者が他の入札参加者を把握することができる方法により実施していたことをそれぞれ認定し、今後は、談合情報を速やかに通報すること及び入札参加者が他の入札者を把握できない方法により入札を実施するよう、異例の要請をしている。
 
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