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HOME代理店取引に関わる問題代理店と再販売価格拘束

場合によっては、再販売価格拘束として、不公正な取引方法に該当し、排除措置命令の対象になる場合もあり得る!!

代理店取引に関わる問題
問題点とリスク

『自社は園芸用肥料の国内トップメーカーとして、同製品の生産及び販売をしていたところ、北海道地区の代理店Aに対して、固形肥料の販売をしていたところ、Aに対して、自社の小売希望価格は、1袋4800円であることを示した上で、当該小売希望価格で販売しない場合には、固形肥料の販売を打ち切ることを伝えた。』

上記のような行為に見覚えのあるかたは要注意です。

上記の行為は、場合によっては、再販売価格拘束あたり、不公正な取引方法に該当するとして、公正取引委員会から排除措置命令の対象になる可能性があります。

排除措置命令の対象になると、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られることになりますし、排除措置命令が確定すると、民事損害賠償訴訟では、行為の違法性が推定されて敗訴する危険性が高まります。

さらにやっかいなのは、排除措置命令が発令された場合に、当該命令に違反してしまった場合には、刑事罰が適用されることです。刑事罰の重さは、個人については2年以下の懲役又は300万円の罰金、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)です。

加えて、再販売価格拘束に対しては、伝統的に、公正取引委員会が厳格な執行をしてきていますので、現実の執行状況という観点からも十分な注意が必要です。リスクが現実のものとして顕在化する可能性が高い分野であるためです。

独占禁止法違反となり、『独占禁止法に違反した企業』というレッテルが貼られてしまったり、場合により刑事罰が課されるようなことになれば本末転倒です。

独占禁止法に違反するような事態はすべからくこれを避ける必要があります。

問題点の解決方法

再販売価格拘束は、原則として違法行為であり、例外的に、再販売価格拘束のように見える行為であっても再販売価格拘束に該当せず、独占禁止法上、違法とは認められないものとされている領域はごくわずかです。

例外として認められているのは、以下のような場合です。問題点の解決策としては、公正取引委員会が明らかにしている、以下に示す例外的な場合以外は、再販売価格拘束に繋がりかねない行為はしないことです。

『以下のような場合であり、メーカーの直接の取引先が、単なる取次ぎとして機能しており、実質的にみてメーカーが販売していると認められる場合には、メーカーが当該取引先に対して価格を指示しても、通常、違法とはならない。

@委託販売の場合であって、受託者は、受託商品の保管、代金回収等についての善良な管理者としての注意義務の範囲を超えて商品が滅失・毀損した場合や商品が売れ残った場合の危険負担を負うことはないなど、当該取引が委託者の危険負担と計算において行われている場合

Aメーカーと小売業者(又はユーザー)との間で直接価格について交渉し、納入価格が決定される取引において、卸売業者に対して、その価格で当該小売業者(又はユーザー)に納入するよう指示する場合であって、当該卸売業者が物流及び代金回収の責任を負い、その履行に対する手数料分を受け取ることとなっている場合など、実質的にみてメーカーが販売していると認められる場合』

なお、上記については2017年6月16日付け改正による「流通・取引慣行に貫する独占禁止法上の指針」において以下のような具体例が紹介されています。

『産業用部品AのメーカーであるX社が、同社のユーザーであるZ社との間で、産業用部品Aの販売価格を取り決め、X社の代理店であるY社に対し、当該価格でZ社に納入するよう指示すること(具体的には、Y社にZ社向け産業用部品Aの物流、代金回収及び在庫保管の責任を負ってもらうこととし、その履行に対する手数料は、Y社のZ社への納入価格とY社のX社からの購入価格との差額とする。)、Y社は物流、代金回収及び在庫保管の責任を負うが、Y社が負う在庫管理に伴う危険負担は極めて低いと考えられることから、実質的にみてX社がZ社へ直接販売していると認められる。また、X社が指示するのはY社がZ社に納入する価格のみであり、Y社がZ社以外のユーザーに販売する際の価格や、Y社以外の代理店が販売する際の価格を指示するものではないことから、X社の産業用部品Aについての価格競争に与える影響はほとんどないと考えられる。したがって、独占禁止法上問題となるものではない』

いずれにしても、再販売価格を維持しようとするがあまり、足元をすくわれ、『違法企業』というレッテルが付いてしまっては一流企業への道は、遠くなるばかりです。

このような事態はすべからくしてこれを避けるべきです。
 
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