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HOME金融取引に関わる問題拘束条件付取引

場合によっては拘束条件付取引として、排除措置命令の対象になり得るので要注意です!

金融取引に関わる問題
問題点とリスク

『融資先企業に、自行の関連会社の競争者に有価証券を引き受けさせないことを融資継続の前提条件とした。』

『融資先企業に対して、有価証券の引き受けについて、自行の関連会社等の競争者が引き受ける数量に一定の限度を設けるよう要請し、かかる条件を融資継続の前提条件とした。』

『融資先企業に対して、銀行間における借入れシェアが偏ると、「他行からの借入れは控えて欲しい」と要請し、かかる要請に従うことを、融資継続の前提条件とした。』

上記に掲げた行為に見覚えのある場合には要注意です。

上記の行為は、場合によっては、拘束条件付取引規制に違反し、不公正取引に該当するとして、公正取引委員会から排除措置命令や銀行法上の業務停止命令の対象になる可能性があります。

融資先である企業は、継続的融資を受ける必要があります。それゆえ、金融機関は融資先企業に拘束条件付取引を受諾させ、それにより関連市場に競争阻害的効果を発生させやすいと考えられています。

また、具体例で掲げたような要求は、主要な金融機関以外からの要請であれば断ってしまえばよいものですが、主要な金融機関との取引関係を考えるとなかなか断りがたいものです。このような状況を利用して融資先に具体例で掲げたような要求をすることは不公正な取引に該当すると判断されやすいといえます。

排除措置命令の対象になると、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られることになりますし、排除措置命令が確定すると、民事損害賠償訴訟では、行為の違法性が推定されて敗訴する危険性が高まります。

さらにやっかいなのは、排除措置命令が発令された場合に、当該命令に違反してしまった場合には、刑事罰が適用されることです。刑事罰の重さは、個人については2年以下の懲役又は300万円の罰金、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)です

『独占禁止法に違反した企業』というレッテルが貼られてしまったり、業務停止命令の対象になったり、民事損害賠償の対象になるような事態はすべからく避ける必要があります。

上記に加えて、銀行の場合には、銀行法上のリスクを念頭におく必要があります。

拘束条件付取引規制に違反することにより、法令違反の行為を犯したとして銀行法第26条による業務停止命令や銀行法第27条の免許停止・取消し命令の対象になる場合もあり得ます。

上記のようなリスクは、いずれも、すべからくして回避する必要があります。

問題点の解決方法

第1に融資先企業が自行から運転資金の大半を確保しているような場合には、一切、融資先企業の事業運営に条件を付さないということが考えられます。融資先企業に融資関係を利用してその事業活動に対する条件を飲ませる点に拘束条件付取引規制違反が成立するポイントがあるわけですから、条件を付さなければ、不公正取引も成立しません。

第2に市場分析により、競争阻害的効果が発生しない場合にのみ、拘束条件を付するという方法もありますが、市場分析は必ずしも容易ではないという点も考慮に入れる必要があります。

いずれにしましても、融資をしているということは、それを盾に拘束条件を付した場合に競争阻害的効果が発生していると認定されやすいといえるので、拘束条件付取引規制に違反したと認定されないよう十分な配慮をする必要があります。
 
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