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HOME課徴金減免申請に関わる問題幹事会社と課徴金減免

カルテルの幹事会社であったとしても、課徴金減免の効果を享受し得る!

課徴金減免申請に関わる問題
カルテルの幹事会社はカルテルメンバー間の意見調整等を行う過程で、カルテルメンバーに圧力をかけることがあり得るので、独占禁止法第7条の2第12項第3項の「強要」ないし「妨害」という要件に該当し、課徴金減免の効果を享受することができないとも思われます。

独占禁止法第7条の2第12項第3項の「強要」、「妨害」の意義につき、公正取引委員会は、以下のとおり、解説しています。

『強要を行ったかどうかについては、他の事業者に対して何らかの圧力をかけることによって、事業者がカルテル・入札談合に参加せざるを得なくなったかどうかで判断されます。例えば、他の事業者にカルテルに参加しなければ、事業者団体から各種の有益な情報を一切得られないようにする旨を告げることでその事業者がカルテルに参加せざるを得なくなった場合などが考えられます。他の事業者が違反行為をやめることを妨害することについても、基本的には同じ考え方です。入札談合については、持ち回りで幹事を行い受注の割当て等をしている事例がみられますが、たまたま幹事となっただけの企業が減免制度に基づく報告を行う場合には、他の事業者に対して違反行為を強要していたとまではいえず、減免適用の対象となるものと考えられます。』

このように、公正取引委員会は、カルテルの幹事会社である事実から、当然に、「強要」の要件に該当し、課徴金減免の効果を享受することができなくなるのではなく、「他の事業者に対して何らかの圧力をかけ」たかどうか、かかる圧力の結果として「事業者がカルテル・入札談合に参加せざるを得なくなったかどうか」の2点により、「強要」の要件に該当するか判断すべきとしています。

また、「妨害」の意義について、諏訪園貞明公正取引委員会経済取引局企画長は、『一般に、法律用語で「強要」あるいは「妨害」という場合には、他の事業者に対して脅迫・暴行など何らかの圧力をかけることによって、その事業者が違反行為に引きずり込まれたり、違反行為から抜けようとするのを阻まれた場合』をいうとし、『そこまでの行為を行っていればともかく、単に幹事社としてカルテル・談合の調整にあたる時期があったとしても何ら問題ない』として、「何らかの圧力」、「違反行為から抜けようとするのを阻まれた場合」といえるかどうかの2点により「妨害」の要件に該当すべきか判断すべきとしています。

このように、カルテルの幹事会社であったこと自体から、当然に「強要」、ないし「妨害」という要件が充足されるという硬直した解釈はとられていないので、カルテルの幹事会社であったとしても、課徴金減免の効果を享受することは可能です。
 
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