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HOME課徴金減免申請に関わる問題課徴金の減免と刑事告発

課徴金を免除される場合には、刑事告発の対象とならないが、課徴金の減額を受けるにとどまる場合には、刑事告発の対象となり得る!

課徴金減免申請に関わる問題
独占禁止法上、課徴金の減免を申請した事実やその減免の効果を享受した事実自体は、公正取引委員会の刑事告発の可能性を排除しません。

そのため、課徴金の減免を受けた場合であっても、公正取引委員会が、課徴金の減免を受けた当該事業者を刑事告発することが考えられます。

しかしながら、課徴金の減免を受けた場合にも刑事告発および刑事訴追の対象となるとすれば、課徴金減免制度を利用しようとするインセンティブを低下させかねませんね。

かかる実務的な懸念については、課徴金減免制度の導入についての議論開始当時から重要な論点の1つと位置付けられ、運用面からの解決が図られています。すなわち、公正取引委員会は、申請事業者が、課徴金の免除をうける場合には、刑事告発の対象としないことを明らかにしています

この点、公正取引委員会は、以下のとおり、解説しています。

「公正取引委員会は、立入検査前に、一番目に違反事実の報告を行った事業者については、刑事告発を行いません(平成17年10月7日公表「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」を参照してください。)。あわせて、当該事業者の役職員であってカルテル等の実行行為を行った者についても、公正取引委員会への報告のための社内調査への協力等当該事業者と同様に評価すべき事情が認められる場合には、同様に刑事告発を行いません(上記の「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」を参照)。」

また、上記に関連し、諏訪園貞明公正取引委員会経済取引局企画長は、以下のとおり解説し、公正取引委員会が刑事告発しない場合には、検察庁により刑事訴追されることもないことを明らかにしています。

「2005年独禁法改正法の国会審議では、法務省刑事局長が衆議院や参議院の経済産業委員会で「公正取引委員会が課徴金減免制度の最初の報告者について、刑事告発しなかったとしても、独占禁止法違反罪のみならず、刑法上の談合罪や偽計入札妨害罪について、検察がこれを起訴するとすれば、課徴金減免制度は結局機能しないのではないか」(自民党・松島みどり議員等)という旨の質問を受けた。刑事局長は、「公正取引委員会に対しては、専属告発制度が認められていることの趣旨を踏まえると、公正取引委員会が刑事告発しなかったという事実を検察官は十分考慮することになるので、課徴金減免制度は十分機能することになると思われる」旨の答弁を行っている。」

以上に紹介した公正取引委員会および諏訪園貞明公正取引委員会経済取引局企画長の見解によると、課徴金の免除をうける場合には,公正取引委員会による刑事告発の対象にならないし、検察庁により刑事告発されることもないといえます。
 
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