THIS WEBSITE IS HOSTED BY DR. AKIRA INOUE, (PH. D., ATTORNEY & COUNSELLOR AT LAW, ADMITTED IN JAPAN & NEW YORK STATE, UNITED STATES OF AMERICA)


独占禁止法の法律相談.com
このサイトは、Dr. Inoue(井上朗(法学博士・弁護士(日本国・米国ニューヨーク州)))により運営されています。
Home
Who is Dr. Inoue 独禁法論文・講義録 独禁法書籍 免責事項


カテゴリー一覧
ライセンス契約に関わる問題
下請取引に関わる問題
代理店取引に関わる問題
ジョイントベンチャー取引に関わる問題
入札談合に関わる問題
課徴金減免申請に関わる問題
企業結合に関わる問題
金融取引に関わる問題
流通取引に関わる問題
景品及び表示に関わる問題

サイト情報
免責事項
お問合せ

井上朗博士の執務室
当サイトを運営するDr. Inoue(井上朗(法学博士・弁護士))の執務方針、経歴の詳細、ヴァージニア大学における研究記録などを紹介するサイトです。
「リニエンシーの実務」
Dr. Inoueの米国での研究結果の一部である「リニエンシーの実務(競争法の荒波から企業を守れ)」が発売されております。

「B2B取引コンプライアンスバイブル」
Dr. Inoueの研究成果の一環であり、博士論文執筆による分析成果でもある「B2B取引コンプライアンスバイブル(競争法的コンプライアンスの理論と実践)」が発売されました。
「Japanese Antitrust Law Manual, Law, Cases and Interpretation of the Japanese Antimonopoly Act」
Dr. Inoueが執筆した英文による独占禁止法の解説書がKluwer Law International社から出版されました。日本でも購入が可能です。
HOMEライセンス契約に関わる問題ライセンスと拘束条件付取引

特許権者が、ライセンシーに対して特許権をライセンスするに際して、特許製品等の販売条件等について制限をすることは、独占禁止法違反として、排除措置命令の対象になる場合もあります!

ライセンス契約に関わる問題
問題点とリスク

『特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、契約対象特許を使用しているか否かにかかわらず、ライセンシーの特許製品又は特許製品でない一定の製品の製造数量又は販売数量等に基づいて実施料の支払義務を課した。』

『特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、契約対象特許又は競争技術についてライセンシーがライセンシーに対して、契約対象特許又は競争技術についてライセンサーが自ら又は第三者と共同して共同研究を行うことに制限を課した。』

『特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、ライセンシーによる改良特許、応用発明等について、ライセンサーにその権利自体を帰属させる義務又は独占的ライセンスをする義務を課した。』

『特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、特許製品について、ライセンサー若しくはライセンシーが指定するものを通じて販売する義務を課した。』

『特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、特許製品について、ライセンサーが指定するものには販売しない義務を課した。』

『特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して特許製品についてライセンサーが指定する商標等を使用する義務を課した。』

上記のような行為に見覚えのあるかたは要注意です。

上記の行為は、場合によっては、不公正な取引方法に該当するとして、公正取引委員会から排除措置命令の対象になる可能性があります。

排除措置命令の対象になると、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られることになりますし、排除措置命令が確定すると、民事損害賠償訴訟では、行為の違法性が推定されて敗訴する危険性が高まります。

さらにやっかいなのは、排除措置命令が発令された場合に、当該命令に違反してしまった場合には、刑事罰が適用されることです。刑事罰の重さは、個人については2年以下の懲役又は300万円の罰金、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)です

ライセンス契約などの技術が伴う契約では、排除措置命令の内容を厳格に遵守することは必ずしも容易ではありません。自社としては排除措置命令を遵守しているつもりが、排除措置命令違反を疑われてしまう場合も十分に想定されます。

特許権は本来企業の競争力を高めるために取得するもので、特許権の行使により独占禁止法違反となり、『独占禁止法に違反した企業』というレッテルが貼られてしまったり、場合により刑事罰が課されるようなことになれば本末転倒です。

特許権取引について独占禁止法に違反するような事態はすべからくこれを避ける必要があります。

問題点の解決方法

特許権をライセンスすること自体は権利の行使であって問題を発生させませんが、ビジネス上の正当な理由なく、ライセンシーに義務を課してその活動に制限を付すると独占禁止法上の問題が出てきます。

このような事態を避けるためには、第1に、特許権の使用許諾に際してライセンシーに義務を課する場合に、それがビジネス上の合理性と証拠に裏打ちされているかどうかを検証し、裏打ちされていない限り、義務を課さないという方法が考えられます。但し、『ビジネス上の合理性と証拠』は公正取引委員会の審査官の目から見て納得のできるものである必要があります。

第2に、ライセンシーに対してその活動を拘束するような義務を一切課さないことです。この方法は、独占禁止法に違反する可能性を最も減少させることができますが、逆に特許権に基づく優位性を最も利用しない方法です。

第3に、仔細な市場分析に基づいて、拘束条件を付しても市場に悪影響を与えないことが証拠により裏付けられている場合を除いて、このような条件を課さないことです。しかし、市場確定や市場占有率は流動的である上、公正取引委員会と同様の分析手法で市場画定をするのは必ずしも容易な作業ではありません。

以上、いずれの方法を採用するとしても、ライセンス契約で足元をすくわれ、『違法企業』というレッテルが付いてしまっては一流企業への道は、遠くなるばかりです。このような事態はすべからくしてこれを避けるべきです。
 
お問い合わせ  (C) AKIRA INOUE ALL REIGHT RESERVED.