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独占禁止法の法律相談.com
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当サイトを運営するDr. Inoue(井上朗(法学博士・弁護士))の執務方針、経歴の詳細、ヴァージニア大学における研究記録などを紹介するサイトです。
「リニエンシーの実務」
Dr. Inoueの米国での研究結果の一部である「リニエンシーの実務(競争法の荒波から企業を守れ)」が発売されております。

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「Japanese Antitrust Law Manual, Law, Cases and Interpretation of the Japanese Antimonopoly Act」
Dr. Inoueが執筆した英文による独占禁止法の解説書がKluwer Law International社から出版されました。日本でも購入が可能です。
HOME流通取引に関わる問題実体編不当利益による顧客誘引

「不当」とは個別に独占禁止法の観点から公正競争阻害性があると判断された場合に違法となる行為類型を示すものです

流通取引に関わる問題
「不当」とは、個別に独占禁止法の観点から公正競争阻害性があると判断された場合に違法となる行為類型を示すものです。不当性は、当該業界における正常な商慣習として独占禁止法上是認し得る内容のものに照らして判断されます。

著名な事件としては、野村證券事件(平成3年12月2日審決・審決集38巻134頁以下)が挙げられます。当該事件では、野村、大和、日興、及び山一の証券会社四社が、取引上重要な一部の顧客に対し損失補填等を行ったことが、証券投資における自己責任の原則に反し、証券取引の公平性を阻害するものであって、証券業における正常な商慣習に反する不当な利益により顧客誘因であると判断されました。

この点、損失補填事件についての株主代表訴訟では「証券会社が顧客に対して有価証券の売買などの取引について生じた損失の全部または一部を補填することは、証券市場の担い手である証券会社が証券投資における自己責任原則を放棄し、証券市場において適正に形成された価格を証券市場外で修正するものであり、証券取引の公正性を害するものであるから、証券業における正常な商慣習に反する。そして、本件損失補填は、顧客との取引関係を維持し、または拡大する目的で一部の顧客に対して行なったものであるから、正常な商慣習に照らして不当な利益をもって競争者の顧客を自己と取引するように誘引するものであって、不公正な取引法(昭和57年公正取引委員会告示15号)の9項(不当な利益による顧客誘引)に該当し、独占禁止法19条に違反する」と判示されています(東京高判平成7年9月26日・審決集42巻481頁)。
 
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