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独占禁止法の法律相談.com
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当サイトを運営するDr. Inoue(井上朗(法学博士・弁護士))の執務方針、経歴の詳細、ヴァージニア大学における研究記録などを紹介するサイトです。
「リニエンシーの実務」
Dr. Inoueの米国での研究結果の一部である「リニエンシーの実務(競争法の荒波から企業を守れ)」が発売されております。

「B2B取引コンプライアンスバイブル」
Dr. Inoueの研究成果の一環であり、博士論文執筆による分析成果でもある「B2B取引コンプライアンスバイブル(競争法的コンプライアンスの理論と実践)」が発売されました。
「Japanese Antitrust Law Manual, Law, Cases and Interpretation of the Japanese Antimonopoly Act」
Dr. Inoueが執筆した英文による独占禁止法の解説書がKluwer Law International社から出版されました。日本でも購入が可能です。
HOME流通取引に関わる問題実体編最恵国待遇条項

場合により、独占禁止法でも違法になる可能性がありますので注意しましょう!

流通取引に関わる問題
最恵国待遇条項とは、ライセンサーが特定ライセンシーに対する契約条件よりも、より良い契約条件を他のライセンシーに提案しないことを内容とする条項であり、米国の裁判所では、当該条項について合理の原則により判断するとされています 。

裁判所は、最恵国待遇条項の競争促進効果を認定しており、最も典型的なものとして、価格協定と区別されることが明確で、かつ、買手の価格交渉の手段になることが挙げています 。しかしながら、他方で、司法省及び連邦取引委員会は、それが競争阻害効果を有することを指摘してきたし、裁判例の中にも、価格協定を認定する際の間接事実として最恵国待遇条項の締結を認定しているものも散見されます。

著名な、アップル事件において、裁判所は、最恵国待遇条項が価格協定の手段として使われたことを認定して、当然に違法になるとして、シャーマン法1条違反を認定していますから、当然に合理の原則が適用されるとするのは早計と言えます。独占禁止法上の扱いについては必ずしも先例上明確ではありませんが、競争阻害効果が発生する可能性がある契約条項であることが認定される可能性があり、違法であると指摘される可能性があると言えます。

また、本件ではシャーマン法第1条が適用されていますが、当然、連邦取引委員会法律第5条の適用も可能です。連邦取引委員会法は、1914年に、クレイトン法を強力に執行し、かつ企業の反競争法的活動を常時監視する目的で連邦取引委員会を設立するために制定された法律です。連邦取引委員会は、クレイトン法の執行権限を付与され、連邦取引委員会法第5条(15 U.S.C.§45)に基づき、不公正な競争手段を、違法と宣言できる広範な連邦反トラスト法執行権限を付与されています。連邦取引委員会法第5条(a)(1)は、「取引におけるもしくは取引に影響を及ぼす不公正な競争方法および不公正もしくは欺瞞的な行為または慣行は、これを違法とする。」(15 U.S.C. §45(a)(1))と、極めて包括的に規定しています。判例上、同条の前段規定によって、シャーマン法およびクレイトン法等の違反となるすべての行為のみならず、これらの規制から漏れるものの、公共政策に反する行為を包括的に規制し得るとされています。同条後段は、1938年のウィラー・リー(Wheeler-Lee)改正法により挿入された規定であり、消費者保護を目的としています。すなわち、「不公正もしくは欺瞞的な行為または慣行」を違法とするとの規定は、虚偽広告や悪徳商法等に対処することを念頭においており、実際にも、そのように機能しているものです。反トラスト法としての機能を有する前段の規定とは性格を異にしている点には、実務上、十分注意すべきです。2022年11月10日には、FTCから、5条の解釈について、広範な解釈が可能であることを説明するpolicy statementがでており、2023年1月5日には、いわゆる競争避止義務を違法と解釈するルールが公表され、2023年5月6日までの期間でパブコメに付されているところです。
 
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