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独占禁止法の法律相談.com
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HOME流通取引に関わる問題実体編おとり商品と不当廉売

場合によっては不当廉売として、独占禁止法に違反し、排除措置命令の対象になる可能性がある!

流通取引に関わる問題
問題点とリスク

『A地域の有力なスーパーが、仕入価格を10円下回る価格で、パック牛乳の販売を2ヶ月間継続した。』

上記のような行為に見覚えがある方は要注意です。

上記の行為は、不当廉売として、公正取引委員会の排除措置命令の対象になる可能性があります。また、過去にさかのぼって10年以内に不当廉売で違反認定を受けている場合には課徴金納付命令の対象になります。課徴金額は、取引額の3%に違反期間(最長10年間)を掛け合わせた金額となります。

排除措置命令の対象になると、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られることになりますし、排除措置命令が確定すると、民事損害賠償訴訟では、行為の違法性が推定されて敗訴する危険性が高まります。

さらにやっかいなのは、排除措置命令が発令された場合に、当該命令に違反してしまった場合には、刑事罰が適用されることです。刑事罰の重さは、個人については2年以下の懲役又は300万円の罰金、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)です

おとり商品や目玉商品により顧客にアピールしたいという戦略には経営上の合理性もありますが、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルを貼られるようなこととなれば、本末転倒です。

したがって、独占禁止法違反に該当するような行為は、すべからく、これを避ける必要があります。

問題点の解決方法

いわゆる目玉商品やおとり商品も、それが年末安売りキャンペーンのように一時的になされる限りでは不当廉売には該当しません。

そこで、リスクが現実化するのを避けるためには、目玉商品やおとり商品の提供はあくまで一時的であり、継続性がないという前提で実施するという方法があります。過去の勧告例では2ヶ月で継続性が認められたものがあり、一つの指標になるかと思います。

また、目玉商品の提供をしても他の事業者の事業活動に困難が発生しないことを証拠により裏付けることができる場合以外には、目玉商品の提供をしないという方法も考えられます。

いずれにしても、公正取引委員会の排除措置命令により、『違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られる事態はすべからく避ける必要がありますので、上記で掲げた手段により、独占禁止法に違反しないような方法を取る必要があるといえます。
 
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