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独占禁止法の法律相談.com
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HOME流通取引に関わる問題実体面共同受注と取引妨害

場合によっては、不当な取引妨害として、独占禁止法違反として、排除措置命令の対象になる場合もあり得ます!!

流通取引に関わる問題
問題点とリスク

『事業協同組合の共同受注事業に当たって非組合員を当該共同受注事業の枠組みに組み入れるために、仕入先の各メーカーに、共同受注事業の枠組みに参加しない非組合員との取引をやめるよう要請した。』

上記のような行為に見覚えのあるかたは要注意です。

上記の行為は、場合によっては、不公正な取引方法に該当するとして、公正取引委員会から排除措置命令の対象になる可能性があります。

独占禁止法違反となり、排除措置命令の対象になると、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られることになりますし、排除措置命令が確定すると、民事損害賠償訴訟では、行為の違法性が推定されて敗訴する危険性が高まります。

さらにやっかいなのは、排除措置命令が発令された場合に、当該命令に違反してしまった場合には、刑事罰が適用されることです。刑事罰の重さは、個人については2年以下の懲役又は300万円の罰金、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)です。

事業協同組合を設立し、当該組合を通じた受注事業を推進することで、安値受注による叩き合いを防ごうとすることには、理解できない面もなくはありませんが、不当な取引妨害と判断されて独占禁止法違反となり、『独占禁止法に違反した企業』というレッテルが貼られてしまったり、場合により刑事罰が課されるようなことになれば本末転倒です。

独占禁止法に違反するような事態はすべからくこれを避ける必要があります。

問題点の解決方法

問題点を回避するためには、各メーカーに対して非組合員との取引をやめるよう働きかけることについてビジネス上の合理的な理由があることを証拠により裏付けることができない限り、このような働きかけをしないことです。ビジネス上の合理的な理由が認められる場合は、非組合員が、1円入札など、およそ適正価格から懸け離れた価格での入札を繰り返しており、不適正価格による入札ゆえに共同受注事業がうまくいかないような場合が挙げられます。

いずれにしても、共同受注事業を成功させようとするあまり、足元をすくわれ、『違法企業』というレッテルが付いてしまっては一流企業への道は、遠くなるばかりです。

このような事態はすべからくしてこれを避けるべきです。

参考事例
軽量気泡コンクリート製品事業協同組合事件(平成15年1月31日勧告審決)が参考事例として挙げられます。東京地区エー・エル・シー協同組合は首都圏地区の軽量気泡コンクリート(ALC製品)の販売施工業を営むものを構成員とする事業協同組合であり、同地区において建設業者から発注される一定規模のALC製品に係る工事について共同受注事業を行い、同組合から割り当てを受けた組合員のみが工事を施工していた。同組合では係る共同受注事業により受注価格の引上げに務めていたが、非組合員の安値受注によりその目的を十分達成できなかったため、非組合員に対しても、受注希望の物件を組合員を通じて申請させ、かかる手続を通じて非組合員も同組合が受注する権利を割り当てた場合のみ受注できるようにすることとし、組合員や非組合員に対して非組合員が代理申請を行うよう要請し、非組合員に代理申請させることにより、非組合員に対して、同組合が受注する権利を割り当てた物件についてのみ建設業者との受注交渉を認め、割り当てなかった物件については受注しないようさせ、同地区において組合と競争関係にある非組合員とその取引先との取引を不当に妨害したとされた。
 
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