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独占禁止法の法律相談.com
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独占禁止法上の問題が発生する可能性は低いといえます!

流通取引に関わる問題
回答の要旨
法律で禁止されている過積載を防止するために、団体として、自ら過積載となる運送引受け、運転手への指示等を行わないことを決議することや、これを基に荷主協力を要請することは、それにとどまる限りは、事業者団体ガイドラインの原則として違法とならない社会公共的な目的等のための基準の設定及び知識の普及及び技能の訓練の趣旨と同様と考えられますので問題ないといえます。

補足
2023年6月1日、欧州委員会は、パブリック・コメントの結果を踏まえて水平的協調ガイドライン、研究開発協定に関する水平一括適用免除規則及び専門化に係る協定に関する水平一括適用免除規則の改定案を採択しました。一括適用免除規則は、2023年 7月1日から効力を生じ、ガイドラインは、官報への掲載により効力を生じます。

過積載のような環境負荷を減らすための協定は、脱炭素やサステイナビリティに関係するところ、水平的協調ガイドラインでは、この点に関するガイダンスが設けられている。

それによると、サステナビリティ協定は、協力の形式に拘わらず、「サステナビリティに係る目標を追求する水平協力協定」であり、サステナビリティ協定が競争によって生ずる負の外部性を軽減するための有益なツールとなり得ることを踏まえ、「サステナビリティ協定」の競争法上の評価に関する新たなガイダンスを設けるとされています。「サステナブルな発展」には、経済、環境及び社会的な発展を支える活動が広く含まれるものとされ、「サステナビリティ協定」には、気候変動への対応、環境汚染の削減、自然資源の使用の削減だけでなく、人権の尊重、生活賃金の保障、レジリエンスを備えたインフラストラクチャーやイノベーションの促進、フードロスの削減、健康的で栄養のある食生活への変化の促進及び動物福祉の確保といった様々な目標を追求する水平協定が含まれます。EU競争法では、TFEU条約101条1項に基づき、複数の事業者による競争制限目的又は効果を有する「協定」が禁止され、かかる協定は当然に無効とされています。もっともTFEU101条1項に該当する協定でも、3 項(適用免除)に定める 4 つの用件を全て満たす場合には、競争法違反にはなりま
せん。そのような枠組みを前提としつつ、ガイドラインでは、競争上の懸念を生じさせない協定として以下を例示しています。

・法的な拘束力を有する国際条約等において明確に規定された要求事項・禁止事項(例:児童労働・特定の汚染物質の使用禁止等)を遵守することを唯一の目的とする協定

・事業者の経済活動と関係しない協定であって、もっぱら社内的な活動に関する協定(例:再利用を予定しないプラスチックの事業所内における使用禁止、内部使用文書の印刷数の制限等)

・(非)サステナブルなバリューチェーンを有するサプライヤー等(例:労働者の人権や生活賃金を尊重するサプライヤー等)に関する一般的な情報を含んだデータベースの作成に関する協定であって、特定のサプライヤー等との取引を禁止したり、義務づけたりする内容を含まないもの

・消費活動の環境等への負の影響に対する消費者の意識向上等を目的とする業界団体に関する協定であって、特定の商品に関する共同の宣伝とならないもの

脱炭素やサステイナビリティ関係の競争事業者との協調行為は不可避的に発生していくと思われ、上記のガイダンスは、競争法の遵法性を維持しつつ、社会課題の解決を目指す上で、指針となるものです。

また、サステイナビリティ関係の標準化協定については、以下のsoft safe harbourを明らかにしています。なお、サステナビリティ標準化協定とは、サステナビリティ協定のうち、非サステナブルな製品(例:プラスチック・化石燃料)や製造方法(例:石炭火力による製鉄)からサステナブルな製品や製造方法への置換等を目的として、競争事業者の間で締結されるサステナビリティ標準化に関する協定であって、商品の生産数量を制限する内容を含まないものを指します。

@サステナビリティ標準の策定手続の透明性が確保されており、全ての競争事業者が標準の選択プロセスに参加が可能であ ること

Aサステナビリティ標準に参加する意思を有しない事業者に対して標準を遵守する義務を課さないこと

Bサステナビリティ標準化協定に参加する事業者が、更に高いサステナビリティ標準を自ら採用することができること

Cサステナビリティ標準の発展等に客観的に必要かつ相当な範囲を超えて機微情報を交換しないこと

D標準化策定手続の結果に対する効果的・非差別的なアクセスが保障されていること(例:サステナビリティ標準の策定手続に参加していない事業者が後から標準を採択することを認める)

E少なくとも次のいずれかの条件を満たすこと
・価格の顕著な上昇、品質の顕著な低下がもたらされないこと

・標準の影響を受ける全ての対象市場において、サステナビリティ標準化協定に参加する事業者の合計市場シェアが20%を上回らないこと
 
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