European Commissionは4月15日、欧州の検索市場における支配的な地位を濫用したとして、米グーグル(Google)に対してSOを送付した。制裁金は60億ドル(約7200億円)以上に上る可能性がある。また欧州委員会(European Commission)は、今回の提訴とは別に、携帯端末市場を独占するグーグルの基本システム(OS)「アンドロイド(Android)」に対し、競争法違反についての調査を開始すると述べた。提訴を受けて、グーグルは同社の公式ブログで反論。「グーグルは最も利用されている検索エンジンであるかもしれないが、現在では、人々は数多くのさまざまな方法で情報を検索したり情報にアクセスしたりすることができる。それに(グーグルが)消費者と競合他社に対して損害を及ぼしているとの疑惑は、的外れだということが証明されている」と述べ、支配的地位の濫用を否定している。

グーグルは、欧州経済領域(EEA)内で、その総合検索結果のページに、自社のショッピング比較サービスである“Google Shopping”を優遇的に取り扱うシステムにより、支配的地位を濫用しており、EU競争法に違反している。欧州委員会としては、ユーザが検索クエリの結果として常に最適な検索結果を目にするわけではないことが、イノベーションを阻害するばかりでなく、消費者、及び、競合するショッピング比較サービスの利益を損なうことになることを懸念している。グーグルは、欧州経済領域の全域にわたってオンライン検索サービスを提供し、欧州経済領域のほとんどの国々で90%以上の市場シェアを有しており、支配的な地位を有している。この総合検索サービスの市場とショッピング比較サービスの市場とは、2つの別々の市場であるが、後者では、グーグルは複数の競合するプロバイダとの競争に直面している。グーグルは、その(圧倒的シェアを誇る)総合検索サービス上で自社のショッピング比較サービスに優遇的取り扱いを与えることにより、競合他社のショッピング比較サービスへのアクセスを阻害し、その競争力を妨げている。

異議告知書が仮認定する具体的な内容は、以下のとおりである。

グーグルは、自社の総合検索結果のページに、自社のショッピング比較サービスを、その結果の当否と無関係に、必ず表示させ、かつ、目立つ位置に表示されるようにしている。当該行為は2008年に始まった。

グーグルは、他社のショッピング比較サービスに対しては、ペナルティ・システムを採用している。ペナルティ・システムは既定のパラメーターに基づいて運用され、グーグルの総合検索結果のページでの表示順位を下降させることにもなるのだが、グーグルは、自社のショッピング比較サービスに対しては、このペナルティ・システムを適用していない。

グーグルが始めた、最初のショッピング比較サービスである“Froogle”は、上記のような優遇的な取り扱いを受けていなかったが、その業績は貧弱だった。

Froogleの後続サービスである“Google Product Search”及び“Google Shopping”に対してグーグルが優遇的取り扱いを始めた結果、両サービスは、Froogleに比して高い成長率を達成したが、競合するショッピング比較サービスを害することともなった。

グーグルの行為は、消費者にもイノベーションにも、ネガティブなインパクトを与えている。すなわち、ユーザがその検索クエリの結果として常に最適なショッピング比較の結果を目にするわけではなく、また、競合するショッピング比較サービス製品がどんなに優れていても、(総合検索結果で)グーグルのショッピング比較サービス製品と同列の高い表示順位を得ることはないと考えれば、競争の中からイノベーションを起こそうというインセンティブ(意欲)は削がれる。

異議告知書は、グーグルは自社と競合他社のショッピング比較サービスを同様に取り扱うべきである、との判定を予定している。グーグルが採用するアルゴリズムやページデザインの変更を迫るものではないが、グーグルは、総合検索サービスにおいて、検索に対して最適な結果が表示されるようにしなければならないとする。

欧州委員会は、旭硝子、日本電気硝子、及びドイツのショットが、テレビやコンピュータのスクリーンに使われる陰極線管について価格カルテルを締結したとして、合計1億2874万ユーロの制裁金を賦課することを明らかにしましたね。内訳は、旭硝子に対して4514万ユーロ、日本電気硝子に4320万ユーロ、ショットに対して4040万ユーロです。但し、三社に対する制裁金は、カルテル行為を認めたことから10%減額され、また、日本電気硝子とショットは、欧州委員会への協力が評価されてさらに減額されました。米コーニングと韓国のサムスン電子との合弁企業もカルテルメンバーでしたが、制裁金減免申請により、制裁金を免除されました。Reported by Dr. Inoue
2010年12月7日付けで決定が発令されましたね。共同体規模基準に合致しないものの、当事者の申立により移送、10月28日受理の事案です。域内の受話器及び関連製品、企業向け通信ネットワークのハードウェアとケーブリングサービスが関連市場。いずれも米国企業。一次審理で審査終了。いずれの関連市場でも牽制力のある競争業者が存在することを事細かに認定し、競争上の懸念は生じないと結論付けました。Dr. Inoue
2010年11月17日、Competition Commissionaire, Joaquin Almuniaが、Merger Controlについて総括的なスピーチをしましたね。Unilever/Sara事件及びSyngenta/Monsanto事件に言及しつつ、企業結合規制についての欧州委員会の政策方針を明らかにしました。最も重要な点は、リストラ期でも競争当局は介入せざるを得ないこと、リストラ期であることによって、消費者に被害を与えるような企業結合を許容することがないことを明確にしました。これらは従前から繰り返し触れられてきたことですが、改めて明確化されたことに意義があります。Reported by Dr. Inoue
2010年11月17日付け決定。関連市場は、欧州共同体加盟国におけるデオドラントスプレー市場。両社のブランド力により競争減殺に至るとして競争上の懸念表明により詳細審査実施。Sara Lee Senex Brandを売却し承認を取得(COMP/M.5658)。
2010年10月15日、British Airways, American Airlines及びIberiaと欧州委員会との間でcommitmentが成立し決定が発令されましたね(OJ 2010 C278/14)。嫌疑はEU条約101条。問題解消措置は、London HeathrowまたはGatwick空港について発着枠を競争業者に認めて競争を促進することでした。Reported by Dr. Inoue

Margin Squeezeについての欧州委員会の判断(EU条約102条)を支持した欧州第一審裁判所の判断について、2010年10月14日、欧州司法裁判所も、これを支持する判決を発令。ドイツテレコムのネットワークにアクセスするについて高めの料金設定をし、それが故に競争業者において、ダウンストリーム市場でのサービスの提供価格が高くなり競争力が阻害されていることを認定。ドイツテレコムは、ネットワークアクセス料金は関連規制と関連官庁の承認プロセスを経て決定されたものであり、濫用には該当しないと反論。しかしながら、欧州委員会、欧州第一審裁判所、欧州司法裁判所は、いずれも、効果に着目して濫用があると認定し、ドイツテレコムの主張を退けている。Dr. Inoue

欧州委員会から水平的協調行為に関するガイドラインのドラフトが公表されましたね。こちらで確認できます。今年は、垂直規制に関する理事会規則とガイドラインも改正されており、今後も、改正の動向には注意が必要ですね。Dr. Inoue
社内弁護士と依頼者間の通信に弁護士依頼者特権が及ぶか否かという重要な法律上の争点を含むAkzo Nobel/Akcros Chemicals事件の上訴審において、裁判所補佐官の意見が出されましたね。同事件では、AM & S事件(Case 155/79 AM & S v Commission [1982] ECR 1575)において、欧州司法裁判所が判例法として確立した弁護士依頼者特権による保護が、社内弁護士と依頼者間の通信にも及ぶか否かが争われ、一般裁判所は、2007年9月17日、これを否定し、欧州司法裁判所に上訴がなされていたものです。裁判所補佐官Kokottの.意見書は、上訴理由を詳細に分析した上で、結論として上訴棄却を相当とするものです。なお、上訴審では、イスラエル、オランダ、英国に加え、the Council of the Bars and Law Societies of the EU, the General Council of the Netherlands Bar, the European Company Lawyers Association, the International Bar Association及びthe American Corporate Counsel Associationが支援をしています。Reported by Dr. Inoue
2010年2月18日、Alexander Italianer氏が新しいDirector General of DG Competitionに就任しましたね。これまで、その任にあったMr. Loweは、Director General of new DG Energyに就任するとのことです。Reported by Dr. Inoue