なお、米国の事例ではありますが、知的財産権の行使を理由とする取引拒絶は一般的に合法と考えられており、1950年代にはALCOA理論によりライセンス強制が認められることもありましたが、1970年代以降は一般的に合法とされています。SCM
Corp. v Xerox Corp. 645 F 2d 1195(2d Cir. 1981)はその典型事例です。同事件では、ゼロックス社に特許ライセンスを求めていたSCMが、ライセンス拒否を理由としてシャーマン法2条違反を請求原因として、三倍賠償訴訟を提起したのですが、巡回裁判所は、シャーマン法2条は、独占企業に特許ラインスを強制するものではないとして、原告の請求を棄却しました。
インターグラフ事件も独占企業にライセンス義務がないことを確認した判例です。Intergraph Corp. v. Intel Corp. 195
F 3d 1346 (Fed Cir. 1999)です。インターグラフは、マイクロプロセッサーにおいてインテルの競争者でしたが、インターグラフの有するRISCチップについての特許をインテルが望む条件でライセンスすることを拒否ししたため、インテルはインターグラブにx86チップの販売を拒否し、インターグラフの顧客がインターグラフと取引しないよう強制したり、インターグラフの取引先に対して、インターグラフに部品又は技術情報を提供することを拒絶させる等、インターグラフに対する排除行為を行いました。インターグラフはシャーマン法2条違反を理由として提訴しました。地方裁判所は、インターグラフの差止め請求の求めを認容しました。その内容は、インターグラフとの間の戦略的提携の解消を禁じ、インターグラフの不利になる行為を禁止し、インテルからインターグラフの情報提供の制限を含めインターグラフがインテルのチップを組み込んだ製品を設計、開発、生産、流通に置くことを阻害することを禁止するものでした。巡回裁判所は、インテルのライセンス料の申し込みはライセンスについての条件交渉であり、インテルの行為が競争に悪影響を与えたとはいえないとして、差止め命令を破棄しました。また、不可欠施設の理論は、競争者間にしか適用されないとして、同理論の適用も否定しました。