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違反行為事業者以外の全ての事業者を意味します!
| 流通取引に関わる問題 |
他の事業者とは違反行為事業者以外の全ての事業者を意味し、事業分野、取引形態等における異同を問いません。従って、排除される他の事業者の事業活動と違反行為者のそれとが競合関係にあるかどうかも全く問題になりません。昭和25年7月13日審決・審決集2巻74頁事件は銀行業を営む事業者が全く事業分野を異にする輸出生糸の検査及び販売業者の事業活動を排除した行為を私的独占に該当すると判断しています。
なお、競争者排除による独占的利益の享受の手法として、売切り契約拒絶という手法がある。これは、米国反トラスト法で伝統的に問題となった手法で、日本でも民営化前のNTTがこの手法を採用して独占的利益を享受していました。米国の事例ですが、問題となった典型事例がIBM事件です(United
States v IBM Corp., (1956) 1956 Trade Case (CCH) 68 (S.D.N.Y.1956))。通常リース方式では、リース業者がユーザーに変わって機械を購入し、これをユーザーにリースするもので、リース期間後に、ユーザーが物件を買い取ったり、安価な価格で再リースを受けることができる金融取引的色彩の濃い取引形態を言うところ、IBMが行ったのは、金融リース取引ではなく、コンピューターを売切りとせず、ユーザーに貸与し、コンピューターに対する使用料という形で開発費・製造費を回収するという手法でした。ファイナンス・リースと異なり、リース期間はなく、ユーザーは使用し続ける限りにおいて使用料の支払いを継続することとなり、ユーザーが使用を中止したい場合には、使用開始から1年経過後は、3ヶ月の通知期間を経て、解約が可能とされました。この場合は、コンピューターはIBMに返却される前提でした。これにより、IBMは、長期にわたって安定収入を確保でき、また、中古品が出回ることによる値崩れを防止することができ、ユーザーからすると、月々の使用料のみでコンピューターを使用できるため、初期投資を低く抑えることができるというメリットがありました。反面、このような手法は、開発資金とコンピューター製造費用の長期にわたる持ち出しに耐える潤沢な資金力を有する独占企業のみが実現可能という問題点がありました。資産によれば、リース期間開始後、2から3年目までの資金需要が最も苦しく、4年目を過ぎると急速に資金を蓄積できるとされ、資金力の弱いスタートアップなどは到底追随できずに追い込まれ、市場から駆逐され、独占企業のシェアはさらに高くなり、リース費用は高めに設定されるという流れをとることとなっていました。司法省は、IBMのリース契約について差止め訴訟を提起し、IBMとの間でコンピューターの購入を希望する消費者にはコンピューターを売切ること、売切り価格をリース価格よりも不当に高く設定しないこと、アフター・サービスなどの点で、購入ユーザーをリース・ユーザーと同等に扱うこと、中古コンピューターの買い取りを行わないことを内容とする合意を締結し、同意判決により案件を集結させました。なお、IBMの市場シェアは約90%でした。また、この同意判決で、IBMは通信分野への進出が禁止されましたが、AT&Tの分割により、AT&Tにコンピューター分野への進出を認めるのと引き替えに撤廃されています。この構造的排除措置と呼ばれる手法ですが、1983年のAT&T事件で用いられたのを最後に、実務では用いられていませんが、2020年以降の競争政策の転換に呼応する形で、いわゆるGAFAに対する適用が検討されているのはご存じの通りです。
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