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不当な取引制限における実質的競争制限と同様の解釈が妥当します!
| 流通取引に関わる問題 |
この点で参考になるのが、審判審決平成19年3月26日です。同審決では、独占禁止法2条5項に規定する競争の実質的制限について、昭和26年9月19日東京高裁判決及び昭和28年12月7日東京高裁判決を引用し、「市場における競争状態が減少し、特定の事業者又は事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の競争条件を左右することによって、市場を支配することができる形態が現れているか、又は少なくとも現れようとする状態に至っている状態」が実質的競争制限であり、このような趣旨における市場支配的状態を形成・維持・強化することが、排除型私的独占における実質的競争制限であるとしています。
なお、米国反トラスト法では、市場支配力の濫用が問題視されるが、市場支配力とは、当該企業が、当該商品の市場における競争価格以上に、産出力を削減し、価格を引き上げ得る能力であると定義されます。その上で、市場支配力を認定する要素として、市場シェアを最大の目安とし、競争者の規模等との比較、参入障壁の規模、代替商品の存否等の要素を併せて検討する。判例や裁判例による限り、市場シェアは40%後半で市場支配力を認定するが、諸要素の中でも、参入障壁の有無により、認定は相当程度左右されているのが実情です。
米国反トラスト法の適用法令はシャーマン法2条ですが、この条文では、日本の独占禁止法2条5項と異なり、排他的戦略行為であるmonopolizeと独占の企図行為であるattempt
to monopolizeを別途禁止行為の類型としています。これは、ある商品市場で独占的な地位にある事業者が他の十分な独占力を有しない関連市場において、競争者に対する排除行動を意図的に行った場合や、独占力、市場支配力を十分に有しない事業者が独占を企図して排除行為を行った場合に、それが成功する蓋然性がある場合もこれに該当するとされています。また、独占の企図において、特定の意図の存在は不可欠な要素であるとされています。とはいえ、競争上の妥当な戦略的意図と、明らかに反競争的な意図との区別は、必ずしも明快なものではありません。1993年のSpectrum
Sports, Inc v. McQuillan, 506 US 447 (1993)は独占の企図行為の認定に必要な反競争的な意図とは何かを考察する際に極めて有益な事例といえます。運動靴や馬具等幅広い用途に使用される弾性のある化学物質について特許技術を有する会社であるBRTの100%子会社であるハミルトン・ケントは、1980年に馬具向けの前記物質の全国的独占購入権をマッキラン夫妻に与えこの物質を用いた馬具靴をデザインしていました。マッキランは、翌年ハミルトン社が全国を5地域に分ける販売方針とをったことによって、当該物質を用いた衣料製品や運動靴を含む全製品の南西部地区における販売業者となりました。このときスペクトラムスポーツは他の地域の販売業者として選定されました。その翌々年衣料製品の販売を全国業者に変更することとしたハミルトンはマッキランに対して馬具の開発・販売を留保する代わりに、運動靴の販売権を放棄することを望んだが、これを拒否しました。その後ハミルトンを承継したSIが、マッキランと異なる馬術靴を販売しはじめスペクトラムが当該物質を用いた馬術靴の全国販売権を得ました。事業破綻したマッキランは、シャーマン法1条及び2条違反であるとして、三倍賠償訴訟を提起するに至ったのですが、一審陪審員は1条違反は認めず、2条は三類型のいずれかに該当するとし、判決は独占の企図行為違反を認定しました。2審は、独占の企図の立証における独占の意図や独占獲得の可能性は、不公正又は略奪的な行為の存在によって推定できるとして、独占の企図行為を認定しました。連邦最高裁は、独占の企図の場合には、@関連市場を画定して独占力を認定した上で、A被告が略奪的又は非競争的な行為を行って独占する特定の意図があり、B独占を達成する危険な蓋然性があることを立証しないといけないとし、本件では立証が足りていないとして、2審判決を破棄しました。
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