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独占禁止法の法律相談.com
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井上朗博士の執務室
当サイトを運営するDr. Inoue(井上朗(法学博士・弁護士))の執務方針、経歴の詳細、ヴァージニア大学における研究記録などを紹介するサイトです。
「リニエンシーの実務」
Dr. Inoueの米国での研究結果の一部である「リニエンシーの実務(競争法の荒波から企業を守れ)」が発売されております。

「B2B取引コンプライアンスバイブル」
Dr. Inoueの研究成果の一環であり、博士論文執筆による分析成果でもある「B2B取引コンプライアンスバイブル(競争法的コンプライアンスの理論と実践)」が発売されました。
「Japanese Antitrust Law Manual, Law, Cases and Interpretation of the Japanese Antimonopoly Act」
Dr. Inoueが執筆した英文による独占禁止法の解説書がKluwer Law International社から出版されました。日本でも購入が可能です。
HOME流通取引に関わる問題実体編販売担当地域

場合により、独占禁止法でも違法になる可能性がありますので注意しましょう!

流通取引に関わる問題
この点、公正取引委員会のガイドラインによると、「事業者が商品の効率的な販売拠点の構築やアフターサービス体制の確保等のため、流通業者に対して責任地域制や販売拠点制を採ることは、厳格な地域制限又は地域外顧客への受動的販売の制限に該当しない限り、通常、これによって価格維持効果が生じることはなく。違法とはならない。」としつつ、他方で、厳格な地域制限については、「市場における有力な事業者が流通業者に対し厳格な地域制限を行い、これによって価格維持効果が生じる場合には、不公正な取引方法に該当し、違法となる」と指摘しています。ここで、価格維持効果が生じる場合とはどのような場合かが問題となりますが、この点については、「市場が寡占的であったり、ブランドごとの製品差別化が進んでいて、ブランド間競争が十分に機能しにくい状況の下で、市場における有力な事業者によって厳格な地域制限が行われると、当該ブランドの商品を巡る価格競争が阻害され、価格維持効果が生じることとなる。また、複数の事業者がそれぞれ並行的にこのような制限を行う場合には、一事業者のみが行う場合と比べ市場全体として価格維持効果が生じる可能性が高くなる。」と指摘しています。
 EU競争法における販売担当地域条項の有効性
 EU競争法では、メーカーなどの供給者と、販売店などの購入者といったサプライチェーンの異なるレベルで活動する事業者間の合意(「垂直的協定」)について、水平的協定同様、TFEU条約101条1項を適用します。TFEU条約101条1項を適用するには、効果要件として、加盟国間の取引に感知し得る効果が認定できる必要がありますね。加盟国間の取引に「感知し得る」影響を及ぼすといえるか否かについて、明確な定義はないものの、欧州委員会は、競争を感知し得る程度に阻害する重要性の高いものかどうかを判断する基準としてデミニマスルールを公表しています。デミニマスルールに該当しない場合に、当然に、TFEU条約101条1項違反となるわけではありませんが、デミニマスルールに該当する場合には、「感知し得る」影響を及ぼすとは認められず、したがって、欧州委員会の執行の対象とされない可能性が高いといえます。デミニマスルールに該当するためには、@水平型合意については、当事者の関連市場における市場占有率が10%を超えないこと、A垂直型合意については、当事者の関連市場における市場占有率が15%を超えないこと、B累積効果(cumulative effect) が発生する場合は、水平型及び垂直型、いずれの合意についても、当事者の関連市場における市場占有率が5%を超えないことという要件を満たす必要があります。デミニマスルールに該当しない場合でも、TFEU条約101条1項の適用は一定の条件のもと一括適用免除となります。この一括適用免除の枠組みに関わるのが改正版垂直制限規則である委員会規則2022年720号です。一括適用免除とならない場合には、TFEU条約101条1項の「目的または効果」該当性を分析することとなるが、この点、競争阻害効果の発生如何に関わらず、競争制限の目的のみから違法と判断される行為類型(「ハードコア制限」)と競争阻害効果を子細に分析して違法と判断する行為類型とで異なる扱いをするのがTFEU条約101条1項の分析手法です。

改正版垂直制限規則のセーフ・ハーバーは、供給者の契約商品またはサービスを販売する関連市場における市場占有率が30%を超えないこと、及び購入者の契約商品またはサービスを購入する市場における当該購入者の市場占有率が同じく30%を超えないことで、この点は、従前の垂直制限規制と変更がありません(同3条1項)。なお、供給者及び購入者いずれかの市場占有率30%が超えた場合の分析手法は従前と変更がありません。すなわち、関連事業者の関連市場における市場占有率、累積効果が発生するかどうか、協定がない場合の関連市場における競争状況等といった要素を考慮対象とし 、競争阻害効果の有無を分析することとなります。

他方、ハードコアの類型については一部改正がありますが、排他的流通制度が導入されている場合に、排他的流通事業者にて積極的または消極的に商品またはサービスを販売する地域または顧客の制限(同4条(b))をすることはハードコアに該当します。なお、各テリトリー・顧客グループごとに最大5社まで流通業者を排他的流通事業者として指名することが許容される。そのような前提で、@他の流通業者に排他的に割り当てたテリトリー・顧客グループへの積極的販売を制限すること、直接の販売先に対しても同様の積極的販売を制限すること(同(i))、A供給者が選択的流通を運営するテリトリー内に所在する非正規の流通業者に対する販売につき、排他的流通事業者及びその直接の顧客に対して、積極的及び消極的販売を制限すること(同(ii))、B排他的流通事業者の設立場所を制限すること(同(iii))、C卸売段階で活動する排他的流通事業者に対して、消費者に対する積極的及び消極的販売を制限すること(同(iv))、D供給者から製造のために部品供給を受けた排他的流通事業者に対して、当該部品を、供給者と同様の製品を製造する顧客に積極的及び消極的に販売することを制限すること(同(v))は例外として許容されます。

選択的流通網が構築されている場合に、選択的流通事業者が積極的または消極的に商品またはサービスを販売する地域または顧客の制限(同(c)(i))もハードコアです。なお、@排他的流通事業者(最大5社まで指定可能)に排他的に割り当てたテリトリー・顧客グループへの積極的に販売を制限すること、その直接の販売先に対しても同様の積極的販売制限を課すること(同(1))、A選択的流通事業者及びその顧客に対して、選択的流通網が適用されている地域内に所在する非正規の流通事業者に対する積極的または消極的販売を禁止すること(同(2))、B選択的流通事業者の設立場所を制限すること(同(3))、C卸売段階で活動する選択的流通事業者に対して、消費者に対する積極的及び消極的販売を制限すること(同(4))、D供給者から製造のために部品供給を受けた選択的流通事業者に対して、当該部品を、供給者と同様の製品を製造する顧客に積極的及び消極的に販売することを制限すること(同(5))は例外として許容されます。

排他的流通性または選択的流通性が実施されていない前提で、購入者に対して、販売地域または顧客を制限すること(同(d))も同様にハードコアです。なお、@供給者または流通事業者(最大5社まで指名することが許容される)に排他的に割り当てわれている地域または顧客群について積極的販売を制限すること(同(i))、A購入者及びその顧客に対して、選択的供給制が施行されている地域に所在する非正規供給業者に対する積極的または消極的販売を制限すること(同(ii))、B購入者の設立場所を制限すること(同(iii))、C卸売段階で事業を営む購入者に対して最終顧客に対する販売を禁止すること(同(iv))、D供給者から製造のために部品供給を受けた購入者に対して、当該部品を、供給者と同様の製品を製造する顧客に積極的及び消極的に販売することを制限すること(同(5))は例外として許容されます。
 
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