Alcan Incに対するStatement of Objectionの送付

| | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年2月21日、欧州委員会は、カナダのアルミ製造メーカーであるAlcan Inc.に対して異議告知書を発送しましたね。異議告知書によると、Alcanは、同社の溶解技術の購入者に対して、同社の関連会社であるECLの製品を購入するよう求め、よって、両製品を抱合せ販売したというものです。適用法令は、EC条約第82条です。欧州委員会によると、違反行為は世界で700億ユーロにもなるアルミ市場が影響を受け、同市場における技術革新に影響を及ぼすと指摘しています。

EU競争法上、抱合せ取引はどのようにして規律されるのでしょうか。

ガイドラインによると、抱き合わせを、供給者が、製品販売に際してこの供給者あるいは供給者によって指定されたものから、他の別個の製品を購入することを条件付ける状況をさすとしています。

第一の製品は、拘束する製品あるいはサービスと呼ばれます。第二の製品は拘束された製品あるいはサービスです。2つの製品が別個であるかどうかを判断する基準となるのは購入者の需要です。例えば、紐と靴を別個に購入するのではなく紐の付いた靴を購入することを希望していることが証明されれば、紐に拘束された靴の販売は抱き合わせではありません。抱き合わせは、拘束された製品に単一ブランド政策の義務を課す場合には81条が適用されます。拘束された販売の垂直的制限は、供給者の拘束する製品と拘束される製品市場が30パーセントを肥えないとき、適用免除されます。この基準を超えると、協定は拘束する製品市場の供給者の地位と、競業者の地位、購入者の購入力を基礎に評価されます。そして、拘束される販売が、商業上の使用や目的など製品の性質から客観的に正当化されない場合には、82条が適用され得ます。

Authored by Dr. Inoue

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: Alcan Incに対するStatement of Objectionの送付

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://antitrust.main.jp/mt/mt-tb.cgi/76

コメントする

このブログ記事について

このページは、Dr. Inoueが2008年3月 4日 23:19に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ソニー制裁金の支払に同意の方針」です。

次のブログ記事は「Bo Vesterdorf判事のマイクロソフト事件についてのコメント」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01

About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。