Bo Vesterdorf判事のマイクロソフト事件についてのコメント

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2007年9月に、欧州第一裁判所の裁判官を退任したBo Vesterdorf判事が、昨年9月に出されたマイクロ事件ソフト事件の判決(同社に対して4億9700万ユーロの制裁金を支払うことを命ずる欧州委員会の決定を支持する判決)により技術革新が妨げられるようなことがあれば、それは残念なことであると認識していると報道されましたね。欧州委員会は、マイクロソフト社に対して、市場における支配的地位を濫用していることを理由に、制裁金を賦課するという判断をしました。ウィンドーズをメディアプレーヤーに同期させるための技術情報を提供するに際して、不当に高い技術料を請求しているというのがその理由でした。過度の請求がどの程度の請求を言うのかについて、これまで、欧州委員会も欧州第一裁判所も、クリスタルクリアーな基準を定立しているわけではなく、これはマイクロソフト事件でも解決されなかったといえます。なお、ユナイテッド・ブランド事件では、欧州委員会は、チキータバナナについて過度の価格設定が行われたと判断しましたが、当該決定は裁判所により否定されました。裁判所は、利益を挙げたことが証明できていないと述べています。また、同事件の裁判所の決定では、価格設定の問題よりも、経済的価値に合理的に関連しているかどうかという点が、過度の価格設定性を判断する上でよりフォーカスされました。

Reported by Dr. Inoue

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このページは、Dr. Inoueが2008年3月25日 23:13に書いたブログ記事です。

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Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。