欧州委員会による立入検査

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2003年以降、欧州委員会による立入権限は強化されています。欧州委員会は、競争法違反が疑われる場合には、企業と企業グループ全体について、必要な調査をすることができます。そのため、欧州委員会職員は、通常、全ての企業の建物内、土地、輸送機関、簿記、他の業務上の書類を調査し、コピーをとり、その場で口頭の質問をします。また、欧州委員会は、審査対象に関連する書類が他の場所に隠されている疑いがある場合には、職員の自宅や役員・職員の車を捜査することもできます。このためには、欧州委員会は、加盟国司法当局から令状を取得しなければなりません。また、欧州委員会は、企業内を封印し、書類について全ての職員を審問し、説明を求めることができます。

欧州委員会が正式な決定を持って要請しない限り、立入検査を拒否したとしても制裁を受けることはありません。正式な決定については、欧州第一審裁判所においてその有効性を争うこともできます。企業が書面による令状にしたがって審査に任意に服しなくても、欧州委員会は、すぐに拘束的な決定を使って立入検査をします。令状が立入検査の対象と目的を記載しているので、企業は容易に審査目的にかなう適切な書類を見つけ出し、欧州委員会職員が必要な権限を越えることなく審査を終了することができます。企業には検査に協力する義務がありますが、もし企業が引き出しを開けることを拒否した場合には、強制することはできず、加盟国当局の助けを借りて、加盟国の手続法に則って引き出しを開けることができるに過ぎません。

Authored by Dr. Inoue

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このページは、Dr. Inoueが2007年12月14日 09:24に書いたブログ記事です。

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Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。