EC条約第81条第3項

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EC条約第81条によれば、同条第1項により、当然に違法とされる協調であったとしても、企業は、欧州委員会に対して、同第3項に基づく適用除外を申請することができます。EC条約第81条第3項は、同条第1項が適用されないための要件として、以下の4要件が充足される必要があるとしています。すなわち、①EUの生産・流通・技術その他の経済的利益の向上に寄与すること、②経済的利益が消費者に還元されるものであること、③許容される協調は経済的利益を達成するために必要かつ、最小限の範囲に抑えられること、および④市場競争を実質的に消滅させるものではないことです。EC条約第81条第3項による適用除外を認めるか否かについて、欧州委員会は広範な裁量を有しています。欧州委員会は、欧州単一市場の形成がEUの基本理念であり、市場統合を妨げ、市場分断効果の大きい協調、すなわち価格合意などのハードコアカルテルは、絶対に許容しないという立場を堅持しています。そのため、ハードコアカルテルについては、EC条約第81条第1項により、原則として、当然に違法と判断されることになりますから、この点は、独占禁止法および反トラスト法上の扱いと基本的に差異がないと評価できます。

Authored by Dr. Inoue

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About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。