Oral HearingにおけるStrategyの重要性

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Oral Hearningにはご存知のとおり、反対尋問は認められておらず、形式的な手続の色彩が強い。日本の法廷も、通常の弁論手続などは、相当程度形式的ですが、このような経験を前提としても、日本や米国での法廷の方が、直接主義・口頭主義が徹底されていると感じますね。そのため、欧州委員会の手持証拠の開示のスコープが圧倒的に広く、また、弁護士‐依頼者特権が認められているなどの面はあるものの、ほぼ書面のみで勝敗が決する手続という印象を、経験すればするほど強めます。直接主義や口頭主義を前提としたプラクティスに慣れている日本の弁護士は、欧州委員会の調査手続やOral Hearningを通じて代理人として活動する際、相当程度、意識を転換する必要があるように思います。European Court of First Instanceのhearingですら、期間は5日程度で、Oral Hearningのみならず、日本における弁論手続との比較ではありますがが、書面主義が欧州における手続の特徴といえなくもないと感じます。但し、Oral Hearningで、釈明権を行使して、事実上の反対尋問を実施することは不可能ではありません。この点は、以前にも指摘したところです。最初は主宰間を通じての質問しかできませんが、直接の質問も不可能ではありません。如何に、被質問者のペースを乱し、直接質問に持ち込むかは、戦略如何といえます。欧州委員会における証拠法則上、確かに、直接主義が正面から認められているわけでは在りませんが、ケースチームの目の前で、ケースチーム側の重要参考人が陥落することによる事実上の効果は少なくありません。Oral Hearningに過度の期待をしてはいけませんが、最初から勝負を放棄するほど悲観する必要もないと思います。

Reported by Dr. Inoue

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このページは、Dr. Inoueが2008年1月27日 22:45に書いたブログ記事です。

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Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。