価格差別とユナイテッドブラウン事件

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欧州競争法において価格差別といえば真っ先に頭に浮かぶのがユナイテッドブラウン事件ですね。この事件では、異なる加盟国市場おける価格差別がEC条約82条の問題になることが明らかにされました。但し、この案件を分析する上で注意しなければならないのは、欧州第一審裁判所は、支配的地位にある企業が欧州域内において統一価格を定めなければならないとしているわけではない点です。ポイントは、同一の場所で購入者によって異なる価格を定めてはならないと述べている点です。その後の事件でも、加盟国間において、合理的な理由にもとづき価格に差異が発生している例について欧州第一審裁判所が問題ない旨分析した事例がいくつかあります。テトラパックII事件の理由中の判断を参照する必要がありますね。無論、テトラパックII事件では、国内市場の人口的な閉鎖事情から、結論として価格差別が違法と判断されています。

Authored by Dr. Inoue

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このページは、Dr. Inoueが2008年5月25日 23:03に書いたブログ記事です。

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Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。