アルセロールカルテル事件

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欧州委員会は、2006年11月8日、鉄鋼製梁カルテルに対する決定を再度採択し、Arcelor Luzembourg SA(前Arbed SA)社など合計3社に対して、欧州石炭鉄鋼共同体条約第65条、EC条約第81条違反を理由に1000万ユーロ(約15億円)の制裁金を科しました。

本件当事者は、1988年から1991年にかけて単一市場全域を対象に鉄鋼製梁の価格を決定し、数量を割り当てるとともに機密情報を交換していました。本件カルテルの対象商品は、熱延により仕上げられる幅広いフラン時のある梁と直径80ミリ以上のI字、H字、およびU字部分で構成される鉄鋼製梁で、主として建設業で用いられているものです。

欧州委員会は、制裁金額の選定にあたり、本件違反行為の実施機関において完全な暦年の最終年となった1990年のECにおける本件製品市場の規模、カルテルの継続期間、関係事業者の規模等の事情を考慮しました。本件に対する制裁金の総額は、通常であれば2000万ユーロの課徴金に加えて継続期間ごとに増額されることになりますが、1994年の欧州委員会決定でArbed SA社に対して科した金額は1999年3月11日の第一審裁判所判決により1000万ユーロに減額されているほか、本件固有の事情を考慮した結果、1000万ユーロとしたものです。

Authored by Dr. Inoue

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Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。