Protection to Corporate Statement

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コーポレート・ステートメントは、申請事業者が自主的にカルテルに関する事実を申告するものであり、違反事実の自認といえます。したがって特に民事訴訟の原告を含む第三者に開示された又は開示が義務付けられた場合には申請事業者の被る損害は大きく、かかる状況が生じないようにリニエンシー告示においてはコーポレート・ステートメントにかかる保護が与えられています。

まず、コーポレート・ステートメントについては、口頭による申請が認められているのみならず、申請時になされる録音及び作成される録音内容の反訳につき、委員会の施設内で正確性をチェックする機会が与えられています。これは、米国のディスカバリー制度の適用を排除するための考慮である。

また、コーポレート・ステートメントについては、異議告知書の名宛人に対してのみアクセスが認められますが、閲覧のみが許され、当該名宛人がコピーをとることは認められません。もっとも、申請者がコーポレート・ステートメントの内容を開示した場合には上記の保護を受けることはできません。

さらに、異議告知書の名宛人への閲覧は、取得される情報を条約の競争ルールを適用する司法又は行政手続のために使用する目的においてのみ認められ 、加盟国の競争当局への送付が認められるのも、ネットワーク告示に規定する条件が満たされ、受領国において委員会と同等の保護が与えられる場合に限られます。

Authored by Dr. Inoue

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このページは、Dr. Inoueが2007年12月22日 23:33に書いたブログ記事です。

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About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。