Apple事件解決に向けて前進
Apple事件でも問題になりましたが、EU競争法上、異なる加盟国間の市民の差別は、支配的地位の濫用行為として問題となり得ます。
欧州委員会が委員会としての判断するのは、決定を発令する2週間前の水曜日の定例会であり、Apple事件について判断をする時期が迫っていたことから、Apple社の意向が明らかになった際、クルス委員は、Apple社が問題の行為を修正することを含む発表をしたのちに欧州委員会として事件を終結すると記者団に説明したとブルームバーグも報じました。Apple社は、iTunesの購買により得られる利益を最大化するために、特定の地域の購買者は特定の地域向けのサイトからしかダウンロードができないようにしたととされています。
このように、EU競争法の執行実務では、伝統的に市場分断的な行為に対する執行が厳しいのですが、この傾向は、とりわけ、リスボン戦略の採択以降顕著です。
異なる市民間の差別が問題となったほかの事例としては、Sacchi事件とGVL事件が代表格です。Sacchi事件では裁判所は支配的地位にある企業が異なる加盟国の製品や企業間でテレビコマーシャルへのアクセスについて差別をすると濫用になると確認しました。
また、GVL事件では、国籍に基づく差別は支配的地位にある企業によって行われる場合、通常82条違反になるし、芸術家の権利を保護することを業務とするドイツのGVL社がドイツに所在しない芸術家からの契約を拒否した場合に、これを正当化することはできないと裁判所は判断しています。
Authored by Dr. Inoue
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