苦情申立人の秘密保護

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欧州競争法の実務では、最近話題になったアップル事件のようにUKのConsumer Groupが苦情を申し立てて調査が開始されるなど、苦情申立人の苦情が調査開始の端緒になることがすくなくありません。アップル事件は、苦情申立の結果、調査の対象になり、解決の見込みであると先週報道がありましたね。

欧州委員会に提供された秘密情報は開示からの保護が徹底されています。欧州委員会の職員が秘密情報を職員の義務に違反する深刻な不当行為によって開示した結果情報提供者が被害を被った場合には損害を賠償する義務が発生します。Stanley Adams事件ではこの点が問題となりました。また、BPB Publishing PLS & British Gypsum Ltd事件では、情報提供者の氏名については、報復的な措置から保護されるべきであるとの準則が導かれ、独占的事業者からの報復を恐れる競争事業者が提供した情報に関しては、情報源秘匿が認められる場合が在ることが示されています。競争事業者の価格や取引条件についての情報も、通常、秘密情報として扱われています。

Authored by Dr. Inoue

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このページは、Dr. Inoueが2008年1月14日 16:23に書いたブログ記事です。

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Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。