情報交換協定は違法行為か?

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情報交換、それ自体は、反競争的ではありません。それ自体が直ちに違法とはいえない点で米国反トラスト法及び独占禁止法上の考え方と同じです。

よって、競争業者と情報交換をしたからといって、ただちにEC条約第81条違反として摘発の対象になるわけではない。

しかし、競争企業がそれぞれの活動について情報を交換することは商業戦略に大変有利といえます。そのため、情報交換のうち一定のものについては、欧州競争法上も問題となりえます。問題となるのは、市場において企業の態度を調整するような協定です。個々の企業の独立した決定や、通常の競争の作用を企業間協定によって取って代わるようにするもので商業上の情報の交換は、情報が実際には業務上の秘密であり、定期的な統計を取る必要がないものであれば、EC条約第81条第1項違反に該当するので、注意が必要です。

とりわけ、クルス委員の2007年12月11日のプレスステートメントでは、2008年以降も強力にカルテル摘発を推進する方針が示されており注意が必要です。情報交換協定についても、審査の対象とされる可能性が十分にあるためです。

Authored by Dr. Inoue

 

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このページは、Dr. Inoueが2008年1月 2日 22:07に書いたブログ記事です。

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About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。