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What 民事訴訟〜民事訴訟手続とは
民事訴訟の概要
ある日、突然、裁判所から特別送達が届いたらどうしましょう。封筒を切って中を見たら、口頭弁論呼出状、答弁書催告書、及び訴状の副本なる書面等が入っていて、本当にびっくりですよね。訴訟と無縁に社会生活や経済活動を営むことができれば本当によいのですが、交通事故や病気と一緒で、突然、被告として訴えられ、自分の権利を守るために応訴せざるを得なくなったり、裁判制度を利用して、自分の権利の回復を図らざるを得ないことは、誰にでも、またどの企業にでも十分にあり得ると思います。そのようなとき、自分で訴訟をするのも一案ですが、最善を期するのであれば、訴訟手続に精通した訴訟弁護士に助力を求めることをお勧めします。弁護士に依頼すれば、弁護士費用が発生しますが、費用を安く抑えようとして訴訟で負けてしまっては、元も子もないからです。以下に民事訴訟制度の概要を示しますが、訴訟のどの段階で、どのような戦略を選択するかは、弁護士と相談の上、決定した方がよいでしょう。

民事訴訟は、自分の権利を実現しようとする人(原告)が、権利の実現を求めようとする人(被告)に対して、訴えを提起することにより開始します。裁判所に受理していただく訴状といえるためには、少なくとも訴状としての形式的要件を満たしていなければなりませんし、所定の印紙、及び郵券が必要です裁判所の担当裁判官は提出された訴状を審査し、不備がなければ訴状が被告に送達されます(訴状に形式的な不備があれば裁判所から補正命令を出され、補正されないと訴えが却下されます)。訴状が被告に送達されると、訴訟係属(当事者を交えて裁判所で事件を審理しうる状態)が生じます。被告が行方不明で送達場所が分からないときには、公示送達の方法がとられます。訴状の送達とともに、第一回期日の呼び出しと答弁書の提出期限の指定がなされます。口頭弁論期日は公開の法廷に当事者が出席して開かれるのが原則です。両当事者は、口頭弁論において、事前に提出した書面に基づく主張を行い、また、主張を裏付ける証拠を提出する必要があります。第1回の口頭弁論期日において原告が欠席したばあいには、訴状の内容がそのまま陳述されたものと扱われ、被告が欠席した場合には、答弁書が事前に提出されている限り、答弁書の内容が陳述したものとして扱われます。なお、原告、被告双方が第1回の口頭弁論期日に欠席した場合には、この手法を用いることはできません。一方、第2回以降の口頭弁論期日において欠席した場合、地方裁判所では、準備書面を事前に提出していても、その内容を陳述したことにはなりませんが、簡易裁判所では陳述したものと扱われます口頭弁論で双方の主張が整理され、争点が明確になれば、本人尋問、証人尋問等の証拠調べの手続に移ります。裁判官が証拠調べの結果から事実を認定する過程では、証拠の証明力の評価は、裁判所の自由な心証に委ねられます。口頭弁論が集結すると訴訟は終了に向かいます。典型的には判決により訴訟は終了します。言い渡された判決は、送達の日から2週間経過すると確定します。
 米国訴訟の全体像
 概要
訴訟は連邦裁判所と州裁判所のどちらに訴訟が提起されるかで、異なる民事訴訟手続により規定されますが、全ての訴訟に適用される基本的な規則があります。原告は、裁判所への訴状の提出、そして申立手数料の支払いにより訴訟を開始します。 訴状の中で原告は、申し立てられた事件の事実と、法的救済を求める根拠を概説します。 原告は通常、令状送達人と呼ばれる個人を通じて、召喚状と訴状のコピーを被告に送達し、訴状の提出を被告に知らせます。被告は、送達された後指定された期間内に回答を提出し、訴状に応答しなければなりません。 答弁書において被告は、それぞれの事実に基づく申し立てを容認または否認し、積極的抗弁と呼ばれる原告が間違っている理由を提示します。場合によっては、被告が反訴または交差請求を答弁書に含めます。 反訴とは、原告に対して被告が主張する請求であり、訴状で主張された元の請求の対象に関連するものです。交差請求とは、訴状または反訴で主張された元の請求の対象に関連する事案において、ある被告が別の被告に対して主張する請求です。 反訴または交差請求がなされた当事者も、指定された期間内に答弁書を提出しなければなりません。答弁書が提出されると (また被告が複数の場合は最初の答弁書が提出されると)、事案は通常、単に「ディスカバリー」と呼ばれる証拠開示段階に移行します。

証拠開示
手続きの目的は、事実関係の明確化と、相手方が保有する関連証拠の「開示」です。 通常証拠開示は、各当事者の相互で自発的な開示の提供から始まります。 開示において当事者は、連絡先情報と各証人の潜在的な証言についての説明とともに、証人の名前を挙げます。 当事者はまた、訴訟の対象に関連するすべての文書を開示する必要があり、原告は申し立てた損害のために要求する、金銭的損害の計算を提供する必要があります。 被告が反訴または交差請求を通じて損害賠償を求めている場合、被告も金銭的損害の計算を提供する必要があります。最初の開示が交換されると、当事者達は相手方から受け取った証拠を確認し、その後、訴訟の法理を立証するために必要な追加情報を決定します。その情報は、証言録取、書面による証拠開示、および財産や物品の物理的検査を通じて入手可能です。 証言録取は、当事者または証人が相手方から尋問される、宣誓した上での口頭審理です。 法廷速記者も同席して証人に宣誓をさせ、すべての質問と回答を書き留め、書面による記録を作成します。 すべての当事者またはいずれかの当事者によって指名された証人の証言録取を要求できます。当事者は、お互いに書面による証拠開示を行えます。書面による証拠開示は、質問書書類の提出要求、および同意の要求で構成されます。 質問票とは、ある当事者からもう一方の当事者に送られ、訴訟での主張に関する情報を求める、書面での一連の公式な質問です。質問票は多くの場合、文書、電子メールやテキストメッセージなどの電子データ、および相手方当事者が保持する訴訟に関連する可能性のある物品の入手に使用される別の開示手段である、書類の提出要求を伴います。同意の要求により、一方の当事者が他方の当事者に陳述の真実性を認めるか否かの質問が可能になります。この段階では、各当事者は原告から始めて、申し立てられた主張または抗弁を裏付けるために、裁判で用いる予定の専門家証人をもう一方の当事者に開示します。 専門家証人は、事案に関連する特定の分野における特別な知識または能力を理由に、裁判での証言を許可されている人です。 専門家はすべての事案に必要とは限りませんが、多くの場合、当事者が専門家を雇って陪審員に彼らの事件の証明を援助してもらうのは有益であり、必須ですらあります。専門家証人は、主張と抗弁を立証するために陪審員に技術的またはその他の専門的な情報を説明でき、また相手方が間違っている理由を示すのに利用できます。たとえば自動車事故の訴訟の場合、事故がどのように発生したかについての一方の主張を立証するために、事故再現の専門家を雇う必要があるかもしれません。 医療過誤訴訟の場合、通常医療提供者がいかに治療水準を満たさず、患者に危害を加えたかを説明するために、医療専門家の雇用が義務付けられています。 専門家が開示されると相手方は、その専門家自身の意見についてレポートを書くように要求するか、彼らの意見の口述記録を取得するために、専門家の証言録取を依頼する機会があります。

証拠開示が完了すると、当事者の 一方が裁判の準備が完了した旨の証明書を裁判所に提出します。 裁判は裁判官に事件が提出され、提示された事実と関連法に基づき事件の判決を下す裁判官裁判、または裁判官が管理し、提出された証拠についての裁定を下すも、事件の判決の決定は陪審員に任せる陪審員裁判のいずれかになります。

裁判所は裁判期日を設定し、両当事者が裁判で証言のために召喚する予定の証人の名前と、裁判中に使用する予定の文書を交換すべき期限を提供するために、進行協議を開催します。 この期間中いずれの当事者も、裁判官に対して相手方の裁判における特定の証人の証言と、特定の文書の提出の禁止を求める、「証拠排除の申立」を裁判所に提出できます。 当事者がこれらの動議の提出を許される理由はいくつかありますが、主な理由は、当事者の訴訟に害を及ぼす可能性のある情報を陪審員に提示しないためです。

裁判が始まる直前に、両当事者は法廷に集まり、事案を審理する陪審員を選びます (陪審員が折よく要求された場合)。 選定が完了すると、当事者は最初に原告、次に被告が冒頭陳述をし、各当事者はその事案の理由を説明して、事実認定者 (裁判官または陪審員) に、どのような証拠を提示するか、彼らが証明したい内容、なぜ事実認定者が当事者に有利な決定を下すべきなのかを伝えます。 冒頭陳述が終わると、当事者は証人の証言と具体的な証拠を通じて主張を行います。各当事者が全ての証拠を提出した後、各当事者は最終陳述を行い、事実認定者に当事者が有利な判決を受けるべき理由を伝えます。 陪審事件では、裁判官が紛争に適用される法律について陪審員に説示し、事実を法律に適用して事案の判決を出すよう陪審員に依頼します。 陪審員は提出された証拠を検討し、法に基づいて誰が勝つべきかを決定し審議するために、別の部屋に送られます。 裁判官裁判では、裁判官が判事席からの口頭または後の決定であれば、場合によっては書面で、事案と法を検討します。 裁判が終了すると、陪審員 (または裁判官) が法的に間違っているとして、当事者の 一方が上訴を決定できます。
 送達
ハーグ送達条約は、裁判上の文書の原則的な送達方法を定めています。各締約国は、他の締約国からの送達の要請を受理しかつ処理する責任を負う当局(中央当局)を指定するものとされ、要請を受理した国の中央当局は文書の送達を自ら行い、又は適切な当局に行わせるものとされています。日本は中央当局として外務省を指定しています。例えば、米国の裁判所において原告が日本に所在する被告を訴えるときは、訴状は、日本国外務省及び日本の裁判所を通じて、原告から被告に送達されるのです。この手続は煩雑であり、日本はハーグ送達条約による送達について日本語の翻訳の添付を要請していることもあり原告は時間と手数を要することになります。

一方、ハーグ送達条約は、裁判上の文書の代替的な送達方法やルートも認めており、その一つとして、外国にいる者に対して直接に裁判上の文書を郵便により送付する方法が条約で認められています(第 10 条(a))。但し、日本国政府は、2018年12月21日に、拒否宣言を出し、直接送達の方法は認められないこととなりました。しかしながら、拒絶宣言後も、原告代理人は、直接送達の方法により、訴状を送付することがよくあります。応訴管轄を認定されないよう慎重に対応する必要があるといえます。
 文書保存(Litigation Hold)について
文書保存とは訴訟、監査、調査の可能性があると判断された段階で「関連した全ての資料・情報をそのままの状態で安全に保存する」という手続です。文書保存に失敗し、特定の文書を開示することができないと罰則の対象となることもあります。文書保存の対象は、証拠開示の対象となる可能性のある全ての電子記録及び文書等を含みます。実務的には、電子情報については対象となり得るものを全て回収して現状を固定してしまうことが多いといえます。これは、基本的に3つのプロセスから構成されています。まず、保存通達で、これは、訴訟、監査、調査の可能性があると判断された段階で、関連する電子情報の保存義務が生じます。その際にはカストディアンに対して関連電子情報を保存する義務があるとの通達をしなければなりません。次に、電子情報の分別保管で、保存が通達された後に関連する電子情報を収集し、関係の無い情報を除外するカリングを行い、外部からアクセスが出来ない分別された安全なストレージに保管しておく必要があります。これは保存された情報が消去されたり改ざんされたりするリスクを無くすためです。最後に、継続的な保存で、文書保存が執行された以降は、新たに発生した電子メールやファイルも関連するものであれば保存対象となりますので、これらの徹底した管理が必要です。文書保存に失敗したことで、実際に制裁の対象となった事例は少なくありません。例えば、Coleman事件では、同社がSunbeam社を買収する際、仲介したMorgan Stanley社がSunbeam社の財務状況を不正に修正したとされたのですが、litigation holdを故意にしなかったとして1500万ドルの制裁金がMorgan Stanley社に課せられました。同事件では、本裁判にも敗訴し15億ドルの損害賠償が命ぜられています(Coleman Holdings v. Morgan Stanley (Florida Cir. Ct. 2005))。

また、フィリップモリス事件( United States v. Philip Morris USA, Inc., 327 F. Supp. 2d 21 (D.D.C. 2004))では、裁判所から訴訟の争点に関連し得る電子メールの保存を命じられていたにもかかわらず、60日以上が経過した電子メールは毎月削除されるという社内システムを採用していた為、裁判の争点に関連するいくつかのメールが提出できない事態となり、罰金として275万ドルが命じられています。
 広域係属訴訟(MDL)について
広域係属訴訟(MDL)とは、共通の事実問題を有する訴訟が複数の州や異なる裁判所管轄区域で提起された場合に、当該訴訟を効率的かつ迅速に処理する目的で一つの裁判所に集約する制度のことをいいます。なお、米国で大規模民事紛争を解決する制度としてはクラス・アクション(集団訴訟)が知られていますが、クラス・アクションではクラス代表者が全体の利益を代表しますが、個々の訴訟の集合である MDL の場合、最終的な和解を受け入れるか否かは個々の原告の判断となります。しかし、大多数の原告が和解をした場合に、少数となった原告がその後有利な判決を得たところで、和解で支払余力が乏しくなった被告から判決額満額を受け取れる保証はないので、まとめて和解できるのであれば個々の訴訟を継続するよりも財務的な安定性が得られるというメリットがあります。なお、MDL に集約されるのは連邦地裁に係属された訴訟で、州裁判所に係属された訴訟は移送されませんし、連邦地裁に係属された訴訟の全てが MDL に移送されるわけではありません。また、MDL では集約された個々の訴訟の中からテストケースを数件選んで、当該訴訟のディスカバリーとトライアルを行って陪審評決を得る「ベルウェザートライアル(bellwether trial)」という手法が用いられます。この陪審評決は他の訴訟の当事者間については、あらかじめ当該トライアルの結論に従うという合意がない限り拘束力はないとされますが、陪審評決の結果は他の訴訟の結果を予測する手がかりとなります。大規模MDLではベルウェザートライアルの早期実施のために、証拠開示期間を短期に設定する場合もあります。
 第1782条による証拠開示
米国外で訴訟を起こしている当事者は、第1782条に基づき、連邦地方裁判所に対し、外国又は国際法廷で使用するための文書及び証言の提出を対象者(以下「開示対象者」という)に強制するよう申し立てることができます。第1782条の手続は、ハーグ証拠収集条約の下での嘱託書(Letter Rogatory)や要請書(Letter of Request)に基づいて行われる開示請求よりも、比較的短時間かつ、費用も安く、より効果的です。

第1782条に基づく開示請求において、通常、開示対象者が、「居住又は所在する」地区を管轄する連邦地方裁判所に対し、申請書を提出します。当該申請は、開示対象者や当該証拠を使用する予定の外国訴訟の相手方に事前に通知することなく、一方当事者のみによる手続(ex parte)で行うことができます。申請書には、求めるディスカバリーの内容と法定の要件該当性に関する説明等が記載されます。

連邦地方裁判所は、申請書を単独で審査することができ、申請を許可した後に、開示対象者に反論の機会を与えることを許可することができます。また、裁判所は申請者に対し、まず開示対象者に申請書を送達するよう命じることができ、これにより、召喚状が送達される前に開示対象者が異議申立てを行うことができます。裁判所が申請を許可したら、申請者は召喚状の送達権限を付与され、被申請者は、召喚状を破棄するよう求める、又は秘密保持命令の発令を求めることができます。不利な決定が下された当事者は、再審査の申立てを行うか、控訴裁判所に控訴することが可能です。

第1782条の申請者は、3つの法的要件を満たさなければなりません。

開示対象者が当該連邦裁判所の管轄内にいること

ディスカバリー対象の証拠が「外国又は国際法廷での手続に使用するためのもの」であること

開示を求める主体が上記手続の「利害関係人」であること

特筆すべき点として、当該外国での訴訟等が実際に係属していなくとも、訴え提起が合理的に予定されていると認められる場合(reasonable anticipation of litigation)にも申請することができます

たとえ申請が法的要件を満たしても、連邦地方裁判所は当該申請を許可、却下、制限する幅広い裁量を持っています。米国連邦最高裁判所は、申請を審査する連邦地方裁判所の判断における4つの考慮要素(discretionary factors)を定めています(Intel Corp. v. Advanced Micro Devices, Inc., 542 US 241, 264-65 (2004)(「Intel事件」))。

開示対象者が、当該外国又は国際法廷の手続の参加者であるか

当該外国又は国際法廷が、連邦裁判所の国際司法共助を受け入れる可能性があるか

申請が「当該外国の証拠収集の制限や、当該外国や米国のその他の政策を回避しようとする意図」を隠しているか

申請が「不当に侵害的又は過度の負担を課すもの」であるか

これらの考慮要素のうち1つの考慮要素が当該申請を否定する決定的な理由となるものではないため、申請者は、これらすべての考慮要素につき、申請が否決される理由とならないことを主張立証しなければならないというわけではありません。他方で、被申請者は、これらの考慮要素のうち、どれか1つでも申請が否決される理由となることを主張立証する責任を負います。

さらに、連邦地方裁判所は、ディスカバリーの方法と手続について裁量権を有しており、第1782条は、当該外国又は国際法廷の慣行と手続規定の遵守を含め、連邦地方裁判所に証拠収集の手続を決定する裁量を認めています。
Amicus Briefについて
米国においては、裁判所に対して訴訟当事者以外の者が意見を提出する手段として、法廷助言者(amicus curiae)によるアミカスブリーフ(amicus brief)提出の制度があります。以前は、関係する分野に精通した弁護士が法廷助言を行うのが典型的でしたが、近年の提出者は様々です。当該裁判所に登録している弁護士の代理を通して、政府職員、会社員、大学教授、学生など多様な法廷助言者が意見を提出しています。アミカスブリーフは、控訴裁判所や最高裁判所に対してしばしば提出されます。連邦上訴手続規則(Federal Rules of Appellate Procedure)29条に規定されている通り、控訴裁判所がアミカスブリーフを受け入れるのは裁判所が提出を促している場合又は訴訟の全当事者の同意を得て提出された場合に限られます。控訴裁判所が提出を促していない場合は、裁判所の許可を求める形になりますが、その際には(@)訴訟についてどのような関心があるのか、(A)何故そのアミカスブリーフが裁判所にとって有益であるのかを説明し、(B)訴訟の全当事者の同意を得ていることを示す必要があります。アミカスブリーフの提出期限は状況によって異なります。アミカスブリーフが原告側の立場を支持するものの場合は原告側の最初のブリーフ(opening brief)提出から7日以内、被告側を支持する場合は被告側の最初のブリーフから7日以内に提出する必要があります。一方、訴訟当事者のいずれも支持しない場合は、原告側の最初のブリーフ提出から7日以内にアミカスブリーフを提出しなければなりません。また、法廷助言者が口頭弁論に参加することはまれですが、裁判所から事前許可があって訴訟当事者の同意が得られた場合にのみ弁論を行うことができます。最高裁判所へアミカスブリーフを提出する際には、米国最高裁判所規則(Rules of the Supreme Court of the United States)37条に従って、その内容に応じて指定の期限内に提出する必要があります。アミカスブリーフを提出した弁護士が最高裁で議論するのは極めてまれで、裁判所から促された時にのみ参加します。

アミカスブリーフは裁判所に提出する正式な書類ですので、訴訟当事者の提出書類と同様に書式規定があり、主に下記の内容を記載する必要があります。

・法廷助言者が企業の場合、親会社や10%以上の株を所有する全ての上場会社の名称

・目次(Table of Contents)

・判例、法令など(Table of Authority)

・法廷助言者に関する情報(名称、当該案件についてどのような関心があるか)、提出が許されていることの説明(当事者の同意書など)

・アミカスブリーフの作成や資金調達に関与した者(特に、訴訟に関わる場合はその当事者名、関係会社や弁護士)

・議論(法的議論や公共政策に基づく議論)

・書体、ページ数、単語数の制限を遵守していることの証明書(通常、ページ数の上限は各当事者の半分)

アミカスブリーフの具体的な内容については、制限や規制がほとんど無いものの、最高裁判所規則37条1に下記のように記載されています。

An amicus curiae brief that brings to the attention of the Court relevant matter not already brought to its attention by the parties may be of considerable help to the Court. An amicus curiae brief that does not serve this purpose burdens the Court, and its filing is not favored.

アミカスブリーフは、当事者から裁判所に通知されていない関連事項を知らせる点で裁判所にとって有益になりうるものである。そのような目的を果たさないアミカスブリーフの提出は裁判所の負担となり、好ましくない訴訟当事者が有利な主張のみを提示する傾向にあるのに対し、アミカスブリーフでは、その案件特有の事実や状況に基づき、当事者が提示していない、提示したくない法的議論や公共政策上の議論、及び事実情報の提供がなされるという点で有益であるとされます。
 実体法の議論について
 Public Nuisance
パブリック・ニューサンス(public nuisance)とは、コモン・ロー上、社会人全般が享受すべき健康、安全、平穏、快適、便宜を相当な程度まで妨げる行為のことをいい、不法行為責任のみならず、刑事責任が認定される場合もあります。著名なオピオイド訴訟では、地方政府はパブリック・ニューサンスの法理の下、オピオイド危機を引き起こした企業・個人を相手に訴訟を起こし、過去の経済的損失に対する補償と、現在直面している公衆衛生上の危機の排除・軽減のために将来にわたって必要となる費用の負担を求めているものです。同法理がはじめて適用されたのはGeorgia v. Tennessee Copper Co., 206 U.S. 230 (1907)です。その後、最高裁判決は修正されたものの、1972年のイリノイ州判決において、州をまたがる河川汚染について、再び、同法理が適用されました(Illinois v. City of Milwaukee, 406 U.S. 91 (1972))。気候変動訴訟においても、同法理が用いられているし、いわゆるプラスチック訴訟でも、同法理が適用されています。
 発信元不明のDHLに対する対応
 
 
 米国民事訴訟手続の解説及びトライアル弁護士チームとの意見交換
トライアル弁護士チームの紹介
 日本企業の代理経験についての意見交換会
 文書保存規定について
独占禁止法等(Antitrust Law)
独占禁止法の基礎知識
カルテル規制に対する法務部の役割
不公正取引規制概観
企業倒産等(Bankruptcy Law and Liquidation)
会社再建の処方箋〜会社再建のための法的手続とは
民事再生法の基礎知識
会社更生法の基礎知識
訴訟手続(Dispute Resolution)
What 課税訴訟〜課税訴訟手続とは
弁護士業務一般(Attorney's Practice in General)
法律相談の心得〜いかに効率的・効果的に法律相談するか
顧問弁護士業務とは〜顧問弁護士を持つメリットとは
 
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