DR. AKIRA INOUE, WELCOME TO THE WEB OFFICE OF AKIRA INOUE (PH.D., ATTORNEY
& COUNSELLOR AT LAW, ADMITTED IN JAPAN & NEW YORK STATE, UNITED
STATES OF AMERICA)
第2 自主再建の利点・問題点
1 自主再建の利点
@ 信用不安の回避・・・法的手続によった場合、「倒産」の烙印を押されてしまうことが多く、かかるイメージにより連鎖倒産が発生するケースが多々ある。自主再建のよれば、このようなマイナスイメージを回避することができる
A 低廉なコスト、短時間の再建・・・法的手続によると、時間・コストともに膨大なものになる傾向がある。
B 経営陣の続投が可能
C 経営陣の責任追及が、民事再生や会社更生に比べれば緩やか
D 株主責任の明確化が原則ではない
2 自主再建の問題点
@ 手続が不透明になる恐れが強く、債権者の同意を得にくい・・・債権者の説明にあたる弁護士の苦労は並々ならぬものがある。
A 資金流失を法的にはストップできない・・・自主再建のスキームは、言ってみれば紳士協定のようなものであるので、抜け駆け的債権者が債権者が発生した場合、法的には何も文句は言えない。
B スキームが頓挫すれば、法的手続に移行せざるを得ない。
3 自主再建選択のポイント
@ 営業利益段階で黒字であること・・・営業利益段階(減価償却前)で赤字であれば、事業を継続するほど赤字が拡大することになるので、事業を継続するほど損失が拡大することになり、到底、再建することはできない。この場合、企業を再建する社会的な価値が乏しく、債権者に対する弁済も困難であるので、法的手段を選択せざるを得ない。
A 資金繰りが確保されていること・・・営業利益段階で利益を計上することができても、資金繰りが確保されていなければ、債権は不可能である。
B 金融機関の同意・・・収益力があっても、巨額の有利子負債を抱え、利息分のみならず、元金を含めた債務の大幅カットをしなければ再建が困難な状況で、金融機関の同意が得られなければ、自主再建のスキームを選択することは不可能である。よって、自主再建を検討する場合、上記@、A及びBの条件を満たすか十分に勘案し、満たさないようであれば、法的手段の選択を検討する必要があるといえる。
第3 法的手段の利点・問題点
1 法的手段の利点
@ 債権者の多数により、少数反対債権者を封じ込めることができる
A 弁済禁止の保全処分等により資金流失をストップさせることができる
B 処理の透明性、公平性が高い
2 法的手段の問題点
@ 事実上の倒産により信用不安を惹起し、収益力の低下を招く
A 手続に時間とコストがかかる
B 手続が硬直的になり、少額債権者と高額債権者のあつかいに原則として差異を設けることができないなど、実質的な不公平を招く恐れがある
C 会社更生手続の場合、経営陣の続投ができない
D 経営陣に対する責任追及が厳格である・・・会社更生法及び民事再生法では、損が賠償査定手続が定められており、一般の訴訟に比べて格段に容易で費用的にも廉価で、経営陣に対する経営責任を追及することが可能である。経営責任の判断動向については、別の機会に紹介したいと考えるが、日本では経営判断の法則が場当たり的な利益衡量として用いられる傾向が強いため、経営陣に対して裁判所の厳しい判断が続いているといえる。よって、経営責任の対するリスクヘッジは、専門家に相談のうえ、常に検討しておくことが有益である。
第4 特定調停手続の利用
特定調停とは、民事調停法の特則として2000年2月に施工された手続で、経済的に破綻する恐れのある債務者と債権者との間で金銭債務に関する調整を裁判所の場で行うことによって、両者の調整を進めやすくするものである。
特定調停では裁判所が通常調停案を提示するが、債権者はそれに従う法的義務はないし、調停に替わる決定が出されても不服があれば異議を出せばよい。
特定調停は、自主再建と法的手段の中間形態といえるが、利点・問題点を掲げると以下のとおりである。
1 特定調停の利点
@ 一部の債権者のみを対象として、債務免除やリスケージュルの要請が可能であり、会社更生手続や民事再生手続のように、下請けや仕入先に影響を及ぼさなくてもすむ
A 調停委員会の斡旋、調停案の提示という形をとるので、多数の債権者の同意を必要とする再建計画、弁済計画がまとめやすい
B 破産手続への以降のリスクが少ない
C 法的手段に比較して費用が安価である
D 債権者も調停案を受け入れる形をとることによって、株主代表訴訟のリスクを回避することができる
E 税務当局に債権放棄について、無償償却を認めてもらいやすくなる
2 特定調停の問題点
@ 多数決による強制力がないので、反対債権者を強制することができない
A 再生手続のように財産の保全処分が出ないため、申立てによる信用不安のリスクを回避するためにも、特定調停成立までの資金を確保することが必要となる
B 経営責任が明確にならない