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HOME代理店取引に関わる問題並行輸入に対する妨害

場合によっては、不公正な取引方法に該当するとして、排除措置命令の対象になる場合もあり得る!

代理店取引に関わる問題
問題点とリスク

『米国のメーカーのある商品の日本における輸入総代理店であるA社が、日本のほかの業者B社がこの商品を米国の販売代理店から並行輸入して日本で販売していることを突き止め、この米国のメーカーに対して、B社に対する商品の供給を中止させた。』

『A販売店を利用してB製品を販売していたところ、販売店Aは自社のフィリピン工場から、より安価の同様の製品を並行輸入し、日本で販売していることが判明した。そこで、自社のフィリピン工場の工場長に対して、A販売店に対してB製品を販売しないよう要請した。』

上記のような行為に見覚えのあるかたは要注意です。

上記の行為は、場合によっては、不公正な取引方法に該当するとして、公正取引委員会から排除措置命令の対象になる可能性があります。

独占禁止法違反となり、排除措置命令の対象になると、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られることになりますし、排除措置命令が確定すると、民事損害賠償訴訟では、行為の違法性が推定されて敗訴する危険性が高まります。

さらにやっかいなのは、排除措置命令が発令された場合に、当該命令に違反してしまった場合には、刑事罰が適用されることです。刑事罰の重さは、個人については2年以下の懲役又は300万円の罰金、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)です。

並行輸入が自由になされれば、販売総代理店が販売する製品が売れなくなるかもしれないという危惧を抱くことには理由がないとはいえません。しかし、代理店の利益を守ろうとするあまり、独占禁止法違反となり、『独占禁止法に違反した企業』というレッテルが貼られてしまったり、場合により刑事罰が課されるようなことになれば本末転倒です。

独占禁止法に違反するような事態はすべからくこれを避ける必要があります。

問題点の解決方法

上記に掲げた行為は、例えば、並行輸入されている製品が偽者であり、その商標の差止をする場合のように正当な理由がある場合は別として、原則として、不公正な取引方法に該当してしまうという認識が必要です。

問題点の解決方法としては、第1に、並行輸入品の輸入妨害に繋がるような行為は一切しないことが考えられます。自社の利益率は減少するかもしれませんが、独占禁止法に違反しないという観点からは、この方法が最も確実といえます。

第2に、公正取引委員会のガイドラインを分析し、並行輸入品の輸入妨害をすることに正当性が認められている例外的な場合を除いて、一切輸入妨害に繋がるような行為をしないという方法が考えられます。上記で掲げた並行輸入されている製品が偽者であり、商標権に基づき商標の使用差止をするような場合がこれにあたります。

第3に仔細な市場分析に基づき、並行輸入品の輸入妨害に繋がるような行為をしても、市場に影響が発生せず、価格維持という効果が発生しないことが確実な場合以外は、輸入妨害に繋がりかねない行為はしないという方法が考えられます。但し、市場分析は、必ずしも容易ではない上、市場確定の方法如何では、容易に競争阻害的効果の大きさも変わってくるので、第3の方法による場合は、くれぐれも、慎重に市場の外縁を確定し、その効果を分析する必要があります。

いずれにしても、並行輸入品を阻止しようとするあまり、足元をすくわれ、『違法企業』というレッテルが付いてしまっては一流企業への道は、遠くなるばかりです。

このような事態はすべからくしてこれを避けるべきです。
 
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