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HOME課徴金減免申請に関わる問題口頭提出

第2号様式に基づく報告書とともに提出する資料については、口頭で提出できるものもある!

課徴金減免申請に関わる問題
課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則第3条第2項は、以下のように定めています。

「前項の場合において、様式第二号の記載事項のうち同様式の「備考」に掲げる事項について口頭による報告をもって当該事項に係る記載に代え、又は、同項の資料のうち口頭による陳述をもって代えることができるものについて口頭による陳述をもって当該資料の提出に代えることにつき、それを必要とする特段の事情があると委員会が認めるときは、当該口頭による報告又は陳述をもって当該事項に係る記載又は当該資料の提出に代えることができる。ただし、口頭による報告又は陳述を行おうとする者が提出期限までに事務総局審査局管理企画課課徴金減免管理官(以下「課徴金減免管理官」という。)に出頭して当該口頭による報告又は陳述をした場合に限る。』

このように上記は、「特段の事情」が存在する場合には、口頭により、資料提出をすることができることを認めています。

この点、公正取引委員会は、以下のように述べています。

『課徴金減免申請を行う際の報告及び資料については、原則として書面によることを求めていますが、報告及び資料の一部(報告者における担当者名・役職名、他の違反事業者の担当者名・役職名、違反行為の態様の詳細等)については、他国のディスカバリ(文書提出命令)制度が問題となるときは、期限までに課徴金減免管理官に出頭して行う口頭による報告又は陳述をもって代えることができます。』

よって、公正取引委員会が例示として掲げる「他国のディスカバリ(文書提出命令)制度が問題となるとき」は、問題なく「特別の事情」に該当し、口頭の報告または陳述により当該事項に係る記載や当該資料の提出に代えることができるといえます。

この場合、様式第2号に基づく報告書の該当欄において、ディスカバリ制度が適用される可能性があること、問題となるカルテルがディスカバリ制度の採用されている国の市場に影響を及ぼしていると認定される可能性があること、当該国のディスカバリ制度の内容からして、様式第2号に基づく報告書や、報告書とともに公正取引委員会に提出する資料がディスカバリの対象となる可能性が存在することを具体的に主張する主張する必要があります。

なお、解釈論の問題として、「特別の事情」に該当する場合がディスカバリの対象となる場合に限定されるという硬直的な解釈は取られるべきではありませんが、現段階において、公正取引委員会が「特段の事情」に該当するものとして例示しているのが「他国のディスカバリ(文書提出命令)制度が問題となるとき」のみであることに鑑みると、実際のプラクティスとしては、それ以外の場合には口頭による申請は認められないことを前提に社内調査制度等を構築すべきであるといえます。
 
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