International Cartel Watch 2016 (vol 1) |
個人責任 |
・カーブ・アウト対象になった場合の訴追率の増加。
・服役期間は長期化の傾向。平均服役期間は45ヶ月。
・個人に対する訴追案件は合計20件。 |
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・2010年〜2015年の平均収監期間は24ヶ月。
・日本人の服役期間は1年1日以上28ヶ月。
・米国反トラスト法違反により有罪判決を受けた日本人の服役場所は、カルフォルニア州にあるLOMPOC Minimum Security Satellite
Camp及びFCI LOMPOC (Low))。 |
罰金 |
・米国反トラスト法違反による2015年の罰金総額は36億ドル(下記表参照)。記録的な回収金額であった。
・米国司法省による2015年の新規捜査着手案件は減少傾向であったが、それにもかかわらず、罰金総額が記録的レベルに及んだのは、従前、捜査を継続してきた案件について、plea
agreement締結及び有罪答弁にまで至ったためと考察できる。 |
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・企業及び個人に対する訴追案件総数は以下のとおりであった。訴追案件の総数は例年並み。 |
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・欧州委員会による2015年の制裁金総額は約3億6000万ユーロ。2014年は約16億ユーロであったため、大幅に減少している。複数の要因が考えられるが、カルテル案件の制裁金賦課決定は5件であり、しかも、大型カルテル(mega
cartel)案件が少なかったことが制裁金額の減少に影響している可能性がある。 |
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・欧州委員会におけるカルテルに対する制裁金賦課決定は以下のとおり、2015年は5件と比較的低調であった。2016年は4月現在で2件に留まっている。 |
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International Cartel Observation |
【自動車部品カルテル】 |
・2016年4月時点で、55人の個人が訴追され、合計35社及び29名の個人が有罪答弁に応じている。
・2016年4月時点で米国司法省が回収した罰金総額は25億ドル以上。
・2014年9月以降、少なくとも6社及び4名の幹部が有罪答弁に応じている。 ・2016年2月の米国司法省の発表では、捜査活動の重点は、他のカルテルに移りつつあるとのことであり、MDLにおいても、多くの案件で、米国司法省の捜査が継続中であることを理由とする手続停止措置が解除されている。 ・欧州委員会は、2016年1月27日、三菱電機に対して1億1092万9000ユーロ、日立に対して2686万ユーロの制裁金賦課決定を発令した。 |
【金融機関カルテル】 |
・2016年4月現在、米国司法省は、Precious Metal Tradingカルテルの捜査を継続中。UK Financial Conduct AuthorityはBarclaysに対して約4000万ドルの罰金を、Swizerland Financial Market Supervisory AuthorityはUBSに対して合計で1億5000万ドルの罰金をそれぞれ課している。 ・2016年5月、米商品先物取引委員会(CFTC)は、シティグループに対し、合計4億2500万ドル(約470億円)の罰金を科すと発表。傘下の米シティバンク、日本法人のシティバンク銀行とシティグループ証券には、銀行間取引金利の悪用に絡み、1億7500万ドルの罰金を科す。米シティバンクには別件で2億5000万ドルの罰金も科す。2007〜12年に金利スワップの国際指標の不正操作を企て虚偽申告したという。CFTCによると、シティグループ証券は2010年2〜8月、複数回にわたり円建てロンドン銀行間取引金利(LIBOR)、2010年4〜6月にはユーロ円建て東京銀行間取引金利(TIBOR)の不正操作を企てたとされる。 ・2015年4月、Deutsche Bank AGはLibor Cartelについて米国司法省とDeferred Prosecutionを締結し、7億7500万ドルの罰金の支払い、3年間のCorporate Monitorに同意。 |