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HOME企業結合に関わる問題届出・手続に関わる問題事業支配力

独占禁止法上、「事業支配力の過度の集中」が認められる場合とは、@持株会社グループの規模・態様が一定の場合に該当すること、A国民生活に大きな影響を及ぼすこと、及びB公正かつ自由な競争の妨げになると認められることという3つの要件を満たす場合です!

企業結合に関わる問題
独占禁止法上、設立が禁止されているのは、他の国内の会社の会社の株式を所有することにより、「事業支配力が過度に集中することとなる」会社です。株式所有だけを目的とする純粋持株会社のほか事業持株会社も含まれる広義の持株会社が対象です。これに該当する会社を設立すること、既存の会社が持株会社となることは禁止され、外国の会社が国内において持株会社になることも禁止されています。

「事業支配力」とは、個別の市場における事業支配力ではなく、国民経済全体への影響力を指しています。事業支配力が過度に集中することとなる会社かどうかの判断は、持株会社とその子会社群により構成される「持株会社グループ」の総資産額とその傘下におかれる子会社群の経済力を判断することによってなされます。なお、子会社とは、会社がその総株主の議決権の過半数を有するほかの国内の会社のことをいいます。持株会社とその子会社とで合わせて50%を超える議決権を所有されている会社も子会社とみなされます。子会社に加えて、持株会社及びその子会社が「株式を所有することにより事業活動を市内している国内会社」を「実質子会社」といいます。これは、持株会社の株式所有分が、「25%超50%以下であり、かつ、持株会社の株式所有比率が最も高い」国内外者を言います。持株会社+子会社+実質子会社を指して、「持株会社グループ」といいます。

独占禁止法上、「事業支配力の過度の集中」が認められる場合は、以下の3要件を満たす場合です。

@ 持株会社グループの規模・態様が、次のいずれかに該当すること。
(a)総合的事業規模が相当するの事業分野にわたって著しく大きいこと(第1類型)
(b)資金に係る取引に起因する他の事業者に対する影響力が著しく大きいこと(第2類型)
(c)相互に関連性のある相当数の事業分野においてそれぞれが有力な地位を占めていること(第3類型)
A 国民生活に大きな影響を及ぼすこと。
B 公正かつ自由な競争の妨げになること。

第1類型から第3類型に該当するか否かの指標は以下のとおりです。

すなわち、第1類型の持株会社とは、持株会社グループの総資産の合計額が15兆円を超え、かつ、5以上の主要な事業分野のそれぞれについて、単体総資産が3000億円を超える会社を傘下に持つ場合に、事業支配力の過度の集中の要件を満たすとされています。総資産の合計額は、持株会社グループに含まれる会社(金融会社を除く)の総資産を連結して算定する。「主要な事業分野」とは、原則として、日本標準産業分類の三桁分類のうち売上高6000億円超えの業種を指すとされています。

第2類型の持株会社とは、持株会社グループが、単体総資産の額が15兆円を超える金融会社と、単体総資産3000億円超の非金融関連会社とを傘下に持つ場合です。この類型は、金融持株会社であり、総資産15兆円という規模は都市銀行をカバーする水準です。ここで非金融関連会社とは、金融会社又は金融と密接に関連する業務以外の事業を営む会社のことを指します。独占禁止法上は、総資産3000億円以下の事業会社を傘下に持つことができますが、金融業法により金融持株会社は、金融会社及び金融関連会社以外の会社を傘下に持つことは制限されています。金融関連会社は、金融会社固有の業務、金融会社固有の業務に従属する業務及び金融会社固有の業務に準ずる業務を営む会社をいいます。金融会社固有の業務に従属する業務とは、金融子会社等からの委託に基づいて行う、不動産の所有・賃貸・保守管理業務、計算業務、現金自働預入・支払機等の保守・運行管理業務などをいいます。金融会社によるこれらの会社の会社の株式保有については、独占禁止法上、一定の要件のもとに認可を受けることができます。金融会社固有の業務に準ずる業務とは、連帯保証業務やベンチャーキャピタル業務等を指します。

第3類型の持株会社とは、持株会社グループが相互に関連性のある5以上の主要な事業分野のそれぞれにおいて有力な会社を傘下に持つ場合です。「相互に関連性」のある事業分野とは、供給する商品・役務について密接な取引関係がある場合又は需要者からみて補完・代替関係にある事業分野を意味します。例えば、製造業については、製品とその原材料との関係、あるいは製品とその生産設備機関などの関係にある事業分野をいいます。また、金融業については、銀行、証券業、生命保険業、損害保険業、クレジットカード業・割賦金融業、貸金業が相互に関連性がある事業分野になります。「主要な事業分野」とは、原則として日本標準産業分類の3桁分類のうち売上高6000億円超えの業種です。また、「有力な会社」とは、当該事業分野における市場シェアが10%以上、又は売上高で上位3位以内の会社を意味します。なお、第3類型では、持株会社グループの総資産規模は要件とはされていませんので、その規模が15兆円以下であっても該当します。
 
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