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HOME企業結合に関わる問題届出・手続に関わる問題合併等届出

一定の場合には、公正取引委員会に対する事前届出の必要があり、報告を懈怠した場合には、罰則の対象にもなり得る!

企業結合に関わる問題
問題点とリスク

『事業戦略の一環として、C社を吸収合併することになり、計画もほぼ現実的なものになりつつある。』

上記のように、他社を吸収合併することは、戦略上の必要上、まま、あることですが、そのような場合、一定のケースでは、公正取引委員会に対する事前届出が必要になります。

報告を怠った場合には、200万円以下の罰金の対象になりえるとされ、しかも両罰規定に基づき、会社自体も200万円以下の罰金の対象になりえます。

このような事態は好ましいものとはいえませんので、合併の際には、公正取引委員会に対する届出の要否について検討する必要があるという意識を持っておく必要があります。

解説

平成21年独占禁止法改正により、基本的にグループ会社(企業結合集団)ベースでの国内売上高の合計額により判断されることになり、 @合併当事者の1の会社が属する企業結合集団の国内売上高が合計200億円を下回らない範囲で政令で定める金額超で、かつ、A合併当事者の他の1の会社が属する企業結合集団の国内売上高の合計額50億円を下回らない範囲で政令で定める金額超となるか否かにより判断されることになった。また、改正により、同一グループ(企業結合集団)内で実施される合併については、届出義務が免除されることになりました。同一グループ(企業結合集団)に含まれるのは、@会社、A当該会社の子会社、B当該会社の親会社で、他の会社の子会社でないもの、及びC当該親会社の子会社であり、当事会社にとっての最終の親会社まで遡り、当該最終親会社を基準として、その子会社、孫会社、曾孫会社というように連綿と連なる企業グループを併せて「企業結合集団」と呼びます。ここにいう「子会社」とは、会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等をいい、「親会社」とは、会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社をいいます。そして、ここにいう「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」とは、単に議決権の過半数を保有するか否かといった形式的な基準ではなく、自社のみならず、自社の同一の意思決定に基づき議決権を行使すると見込まれる会社の保有議決権等をも含めて支配可能性の程度を判断する実質的支配規準が採用されている点に注意を要するといえます。

なお、『国内売上高』とは、@国内の最終消費者を相手方とする取引にかかる売上高、A国内の法人又は個人の事業者を相手方とする取引にかかる売上高(ただし、当該相手方が、当該取引にかかる契約の締結時において、対象商品を性質又は形状を変更せずに外国を仕向地としてさらに取引すること又は当該相手方の外国に所在する営業所等に向けて送り出すことを把握している部分については算入しない。)、B 外国の法人又は個人の事業者を相手方とする取引のうち、当該相手方が、当該取引にかかる契約の締結時において、対象商品を性質又は形状を変更せずに日本国内を仕向地としてさらに取引すること又は当該相手方の日本国内に所在する営業所等に向けて送り出すことを把握しているときの取引にかかる売上高をいいます。従前の規制の下では、国内売上高が日本国内に存在する事業所又は子会社の売上高を指すとされていたため、当事会社たる外国会社が日本国内に事業所や子会社を有していない場合には、届出が不要とされてきました。それに対し、改正法との関係では、日本国内に事業所や子会社を有していない外国会社が、直接又は外国の子会社や商社を介して日本国内に商品又は役務を供給している場合であっても、上記の3点の要件を充足する限り、届出の対象となり得ることになりました。

合併の届出義務者は、当事会社のすべてであり、連名で届け出ることとされています。届出の時期は、合併契約の締結後でなければならず、また、届出が義務付けられている合併については、届出が受理された後、30日間は、合併を行うことができません。この期間は、待機期間と呼ばれる期間で、この間に、公正取引委員会は、合併等の審査をします。

公正取引委員会は、必要があると認めるときは、合併当事会社からの要請により、この待機期間を短縮することができます。短縮が認められるのは、その合理的な理由がある場合であり、届出前の事前相談により、独占禁止法上の問題が発生しないことについて確認を得ている場合などがこれに該当します。

公正取引委員会は届出のあった合併に問題がある場合には、待機期間中に合併の中止を命ずる排除措置命令を発令します。公正取引委員会は、待機期間内であれば届出会社に対して審査に必要な報告、情報又は資料の提出を求めることができ、届出受理から120日又は報告等を受理した日から90日のいずれか遅い日まで排除措置命令を発令することができます。

なお、届出をした後、届出書類の記載事項に重要な変更があった場合には改めて届出を行わなければならず、その場合には、待機期間等は、再提出の受理の日から起算することになります。

【平成21年独占禁止法改正に対応済み】
 
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