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独占禁止法の法律相談.com
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HOME流通取引に関わる問題実体編再販売価格拘束

再販売価格を維持するために販売店にリベートを提供することは、独占禁止法に違反し、排除措置命令の対象になる可能性がある!

流通取引に関わる問題
問題点とリスク

『従前XX地区において、A及びBの両販売店を通じて製品の販売をしてきたところ、A販売店より、従来からA販売店の牙城であった地域にB販売店が安売攻勢を行い、次第にA販売店の売上数量が減少してきたので何とかして欲しいと相談をされた。そこで、エンドユーザー向け価格につき、自社の小売希望価格でエンドユーザーに販売した場合には、A、B販売店にリベートを与える方針を掲げ、A販売店の牙城であった地域でのエンドユーザー向け価格が下落しないようにした。B販売店は、その後も安売攻勢を継続し、結局のところ、リベートの実施は、それほど効果がなかった。』

上記のような行為に見覚えがある方は要注意です。

上記の行為は、再販売価格拘束として、独占禁止法第2条9項4号に違反し、公正取引委員会の排除措置命令の対象になる可能性があります。また、過去にさかのぼって10年以内に再販売価格拘束で違反認定を受けている場合には課徴金納付命令の対象になります。課徴金額は、取引額の3%に違反期間(最長10年間)を掛け合わせた金額となります。再販売価格拘束については、伝統的に、公正取引委員会の執行の主たる対象の1つでもあるので、リスクが現実化する可能性の高さという見地からも注意が必要です。

製品の小売販売価格を希望通りに実現することは、会社の方針等に照らして必要であることもありますが、再販売価格の維持をした企業として、『独占禁止法に違反した違法行為に従事した企業』というレッテルを貼られるようなこととなれば、本末転倒です。

したがって、再販売価格拘束に該当するような行為は、すべからく、これを避ける必要があります。

問題点の解決方法

小売業者にリベートを与えること事態は、必ずしも、独占禁止法に違反するわけではありませんが、小売販売の維持に向けてリベートが提供される場合には、再販売価格拘束として、独占禁止法違反が成立する可能性がでてきます。

そこで、第1に、リベートの提供と小売希望価格でエンドユーザーに販売することを切り離し、リベート提供の条件設定を変えることが考えられます。

第2に、リベートの提供をやめることが考えられます。

第3に、小売業者を買収して、自社の一部門にしてしまうことが考えられます。自社の一部としてしまえば、小売価格をいくらに設定するのかは自社の自由ですから、再販売価格拘束が成立する可能性はなくなります。

いずれにしても、公正取引委員会の排除措置命令により、『違法行為に従事した企業』というレッテルが貼られる事態はすべからく避ける必要がありますので、上記で掲げた手段により、独占禁止法に違反しないような方法を取る必要があるといえます。
 
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