2009年10月アーカイブ

欧州委員会は、かねてから注目されていた損賠請求訴訟に関する告示についてのドラフトを取り下げざるを得ませんでしたね。当該告示は発表間近でしたが、発表直前で取り下げせざるを得なかったものです。最も議論の的になっていたのが、消費者団体その他これと類似する非営利団体が、消費者に代わって代表訴訟を提起することが出来るよう、加盟国に国内法を改正するよう義務付ける箇所でした。当該箇所については、米国におけるクラスアクションのような訴訟を誘発するのではと加盟国からも抵抗が示されていたところでした。また、リニエンシー及び和解に関する書面は公開から保護されるものの、その他の関連書類については広く開示を認めるよう義務付ける箇所についても議論が交わされていたところです。損害賠償に関する告示が完全に消滅するわけではありませんが、上記で掲げた加盟国の納得が得難いいくつかの条項については削除される可能性があるといえます。Dr. Inoue

About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。