2008年8月アーカイブ

2008年8月29日、欧州委員会が、8月14日に発表されたBA、AA、及びIberia間の事業協力契約について調査を開始したことについて、一斉に報道されましたね。当該事業協力では、米国、メキシコ、カナダ、欧州共同体、スウェーデン、ノルウェー間のフライトに関して3社が協力し、また、現在行っているコード共有を拡大することを内容としています。欧州委員会の発表によると、事業協力についてEC条約第81条違反のおそれがあるとのことですね。なお、三社は、既に、米国運輸省に対して、当該事業契約について、独占禁止法の適用の免除申請を申請済みです。

Reported by Dr. Inoue

欧州委員会の手続が開始された後、関係当事者が記録を謄写する方法としては、CDROMの送付、資料のコピー文書の送付、委員会事務所での閲覧謄写が選択的に認められていますが、通常、SO送付時にはCDROMが送付されるという方法が選択されていますね。SO送付時には、資料の列挙目録も添付され、資料の概要が記載されているので、非閲覧謄写資料の特定に役立ちます。非閲覧謄写資料の謄写申請は、委員会宛に書面でしますが、競争総局長が認めない場合には、最終的には聴聞主宰官が判断します。どの記録を開示請求するか、どの資料を狙うのか決める材料となるのが列挙目録です。記録謄写は、手続を通じた戦略立ての基礎になるので、どの資料を狙うのか決めるのは実務上非常に重要です。

Authored by Dr. Inoue

 

2008年8月12日、欧州委員会がかねてから注目されていたTotal ProduceとHaluco Behherによるジョイントヴェンチャーの設立を承認しましたね。Total Produceは欧州域内で果物と野菜の輸入販売を展開しており、他方でジョイントヴェンチャーは、オランダの果物及び野菜の輸入販売業者であるTP Halucoに対する支配の取得、英国において野菜の輸入販売業を営むHalco UKに対するTotal Produceによる支配の取得を含むものでしたが、欧州委員会は水平的な局面における市場支配力の強化は限定的であると判断し、ジョイントヴェンチャーの設立を許可しました。

Reported by Dr. Inoue

About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。