2010年5月アーカイブ

社内弁護士と依頼者間の通信に弁護士依頼者特権が及ぶか否かという重要な法律上の争点を含むAkzo Nobel/Akcros Chemicals事件の上訴審において、裁判所補佐官の意見が出されましたね。同事件では、AM & S事件(Case 155/79 AM & S v Commission [1982] ECR 1575)において、欧州司法裁判所が判例法として確立した弁護士依頼者特権による保護が、社内弁護士と依頼者間の通信にも及ぶか否かが争われ、一般裁判所は、2007年9月17日、これを否定し、欧州司法裁判所に上訴がなされていたものです。裁判所補佐官Kokottの.意見書は、上訴理由を詳細に分析した上で、結論として上訴棄却を相当とするものです。なお、上訴審では、イスラエル、オランダ、英国に加え、the Council of the Bars and Law Societies of the EU, the General Council of the Netherlands Bar, the European Company Lawyers Association, the International Bar Association及びthe American Corporate Counsel Associationが支援をしています。Reported by Dr. Inoue

About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。