2008年6月アーカイブ

2008年6月25日、欧州委員会はフッ化アルミ製造メーカー数社に対して、EC条約第81条違反を理由として、総額497万ユーロの制裁金を賦課する、制裁金賦課決定を発令しましたね。本件は2005年3月に、ノルウェーのBokiden Oddaが制裁金免除申請をしたことに端を発して審査手続が開始されたものでした。審査の結果、2000年7月、ミランにおいて、カルテルメンバーが会合を開き、価格上昇の目標等について合意を形成した事実が認定されました。カルテル自体の実行期間は、2000年12月までであり、比較的短期間で終了しています。Bokiden Oddaは制裁金免除申請をしなければ100万ユーロの制裁金を課されるところでしたが、免除が認められた結果、制裁金賦課決定の対象になりませんでした。

Reported by Dr. Inoue

2008年6月17、18、19日にかけて欧州委員会が、合成洗剤メーカーに対する立入調査を実施しましたね。今回の立入調査は各国の競争当局とも共同して実施されたものでした。欧州委員会は、合成洗剤メーカー各社は、EC条約第81条に違反する行為に従事したと思量すべき十分な理由があるとしています。今回なされた立入調査は、プレリミナリーなものであり、今後、案件の複雑さによっては、審査手続が長期化する可能性も示唆されています。

Reported by Dr. Inoue

現在、ロサンゼルス滞在中ですが、ここロサンゼルスでも、塩素酸ナトリウム漂白紙カルテルの件で欧州委員会が2008年6月11日に発令した制裁金賦課決定は大変な注目を集めています。制裁金総額は79ミリオンユーロに上りましたね。本件では、1社が、2002年告示に基づき制裁金を免除されました。他方で、Arkema Franceについては、2006年ガイドラインに基づき、制裁金の金額が90パーセント増加しました。EKA Chemicalsは、2003年3月に制裁金免除申請をしており、制裁金が免除されました。親会社のAkzo NobelとEKA Chemicalsは、制裁金を免除されなければ、116,000,000ユーロに上る制裁金を課されていたところでした。

Reported by Dr. Inoue

2008年6月2日、欧州委員会は、sanofi-aventis SAに対する正式手続を開始したと発表しましたね。これは、本情報局でも報告した2008年1月15日から18日にかけて、製薬業界の調査の一環として実施されたsanofi-aventis SA社のフランス本社に対するドーンレイドにおいて、調査妨害が行われたことを理由とするものです。欧州委員会の発表によれば、ドーンレイドにおいて、欧州委員会職員が関連性のある書面を特定したにもかかわらず、会社側は、精査及び複製の作成を拒否して調査妨害に及んだとされています。

Reported by Dr. Inoue

About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。