2008年9月アーカイブ

2008年9月19日、クルス委員がcartel settlement procedure関するスピーチを実施しましたね。同手続は2008年6月30日に制定され、同年7月1日から運用されているものです。クルス委員のスピーチでは、同手続の導入が、カルテルに対する執行をいささかでも弱めるものではなく、寧ろ、同手続の導入は、カルテルのより効果的な摘発を目的としたものであることが明確に述べられています。10パーセントの制裁金の減額という効果も、手続の簡素化や執行の効率化により正当化できるものであるとされています。cartel settlement procedureについては、以下のリンク先から、詳細を入手することができます。Authored by Dr. Inoue

2008年9月16日、欧州司法裁判所が注目の判断について判決を発令しましたね。ギリシアの裁判所が扱う薬品の卸売業者と市場支配的地位にある製造業者間の裁判において、欧州司法裁判所の見解を求められていた案件で発令された判決で、EC条約第82条の解釈が問題になっていた案件です。欧州司法裁判所は、並行輸出取引を阻止する意図で、市場支配的地位にある製造業者が卸売業者からの通常の注文の全てに応じないことは、市場支配的な地位の濫用に当たると判断しました。その上で、本件において、卸売業者からの注文が『通常の注文』といえるかどうかという点の事実認定は、ギリシアの裁判所においてなされるべきであると注釈を付けました。

Reported by Dr. Inoue

About the Author

Dr. Akira Inoue

欧州競争法を専門とする法学博士・弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)。Baker & Mckenzie GJBJのAntitrust Practice Groupのメンバーの一員である。