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マイクロソフト事件でも問題になりましたが、市場における支配的地位の認定は、EC条約第82条の適用において大きなポイントを占める論点であり、市場の支配的地位の認定する際に最もポイントになるのが関連市場の確定です。この分析の手法は、米国反トラスト法及び独占禁止法と変わるところがありません。

欧州司法裁判所によると、企業によって占められる市場の大きさが市場の重要部分を獲得する場合のみ、支配的な地位の認定ができるとし、3年間75から87%の市場占有率を占めることは市場において支配的地位を占めていることの裏づけになると判示しています。また、市場占有率が著しく高いことは、それ自体例外なく支配的地位となる50%の占有率はその良い例であるとしています。

市場占有率がそれ自体、支配的地位の存在を推認させるのに不十分である場合には、欧州委員会は他の基準により、他の要素を考慮する必要があります。例外的な場合を除いて、10%の市場占有率が支配的地位を推認させることはなく、他方で、20から40%の市場占有率は支配的地位の推認を排除しません。支配的企業によって占められている関連市場は、その競争者の市場との比較という視点も必要になります。欧州裁判所は、ある企業の市場とその競争者の占有市場間に格差が大きい場合には支配的地位の存在を認定しています。

欧州委員会は、時折、市場を、特定製品の一部に認めるなど、非常に狭く確定している。関連市場が狭く確定されているという事実には注意が必要である。必然的に市場占有率が高めに認定される可能性が高まるからである。代替性分析の認定傾向は、米国よりも厳格というのが、一般的な傾向です。

Authored by Dr. Inoue

支配的地位の概念については、EC条約第82条に規定されていますが、欧州裁判所と欧州委員会は、支配的地位にある企業は、市場において他の競業企業、顧客、消費者の行動を考慮に入れず行動することができる強力な地位を保持できると考えています。そのため、米国反トラスト法や独占禁止法において分析する場合と同様、関連市場を確定することが企業の経済力を分析する基礎を構成することになります。

Authored by Dr. Inoue

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