制裁金減免申請: 2007年12月アーカイブ

EUにおいては、EC条約81条又は82条違反の事件の処理のために、欧州委員会と各加盟国の当局との間又は各加盟国の当局間で、収集・取得した情報及び資料の交換が予定されています。

リニエンシーの申請に際し違反事実及び証拠を提出して当局に協力した申請事業者のインセンティブを確保し、カルテル摘発の実効をきたす目的からは、違反企業の役職員といった個人につき、刑事処分の端緒となる資料が欧州委員会から加盟国の当局に対して提供されないことが重要といえます。

2003年理事会規則1号12条3項においては、個人に刑事罰を科すための証拠として情報等を提供することが認められるのは、①情報等を送付する当局の法律がEC条約81条若しくは82条違反に関し、同種の刑罰を予定しているか、又は②当該個人の防御権につき、情報等受領当局の国内法規において認められているのと同様の水準が確保されている方法で収集された場合(身体的拘束による刑罰を科すために使用する場合は情報等の提供は認められない。)に限ると規定されています。そして、欧州共同体においては、EC条約及びこれに関連する規則においては刑事罰は予定されておらず、欧州共同体における情報等取得時に受領国における刑事手続上必要とされる手続的保障と同等の保障が与えられているかにより、罰金刑目的で情報等の提供が認められるかが決せられることになります。

Authored by Dr. Inoue

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